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【中堅化学③】売上300億円以下の中堅化学メーカー23社を分析

【中堅化学③】売上300億円以下の中堅化学メーカー23社を分析【YouTube動画あり】

【中堅化学③】売上300億円以下の中堅化学メーカー23社を分析【YouTube動画あり】

売上300億円以下の中堅化学メーカー23社の分析 

本日は化学メーカー分析の第3弾で、売上100億~300億円の会社を見ます。 

前回は300億~1,000億円の53社でした。

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一回目はこちら

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今回もランキング以外の要素として、平均勤続年数や給与などを記載しています。

特に就活生の方に参考になる話となっています。

是非、最後までご覧下さい。 

結論:16ポイント獲得でダントツの1位

今回のターゲットは売上100億以上~300億円

上場会社の化学メーカーは211社あり、前回は売上300億円~1,000億未満の53社を見ました。

今回は前回よりさらに小さい売上100億円~300億未満の会社かつ、東証一部に限定し23社を見ます。

これで東証一部上場の中堅化学メーカーについては、一通り触れることが出来そうです。

ただし、2022年4月には東証一部という括りはなくなり、プライム市場・スタンダード・グロースという3つに変わる予定です。 

 

13の項目で見る

企業の財務分析には、3つの観点があります。

  1. 利益が稼げているかという収益性
  2. 財務が安定しているかという安定性
  3. これから伸びるかという成長性

これで13個の項目で、上位の3社に得点を付けていきます。

1位なら3ポイント、2位なら2ポイント、3位なら1ポイントの順です。

最大で39ポイントとなっています。

 

1. 収益性:直近の当期純利益の額

1位:JCU+44億円

2位:大阪有機化学+30億円

3位:日本精化+26億円

最下位:シーボン△11億円

23社平均+11億円

 

2. 収益性:当期純利益率

売上と当期純利益の比率

1位:JCU+19.7%

2位:メック+11.0%

3位:大阪有機化学+10.5%

最下位:シーボン△9.9%

23社平均:4.7%

 

3. 収益性:5年平均の当期純利益額

1位:JCU+44億円

2位:第一稀元素化学工業+30億円

3位:大阪有機化学+22億円

最下位:きもと△2億円

23社平均+12億円


4. 収益性:従業員一人あたり当期純利益

1位:日本高純度化学+1,911万円

2位:JCU+759万円

3位:大阪有機化学+706万円

最下位:きもと△143万円

23社平均+304万円


5. 安定性:総資産

1位:第一稀元素化学:512億円

2位:群栄化学工業:506億円

3位:日本精化:476億円

最下位:ショーエイC:90億円

23社平均:297億円


6. 安定性:自己資本比率

1位:日本高純度化学+84%

2位:前澤化成工業+83%

3位:石原ケミカル+82%

最下位:OATアグリオ+21%

23社平均+63%


7. 安定性:現預金

1位:アグロ カネショウ:125億円

2位:きもと:119億円

3位:日本精化:117億円

最下位:ショーエイC:9億円

23社平均:53億円

 

8. 成長性:時価総額(投資家の期待)

1位:JCU:1,059億円

2位:大阪有機化学:697億円

3位:メック:456億円

最下位:神東塗料:68億円

23社平均:232億円


9. 成長性:5年連続で増収増益しているか?

※23社の中で、該当なし


10. 成長性:5年間での売上の伸びの額

※5年前と直近を比較

1位:OATアグリオ+98億円

2位:ラサ工業+52億円

3位:大阪有機化学+49億円

最下位:きもと△36億円

23社平均+23億円

 

11. 成長性:5年間での売上の伸びの%

1位:OATアグリオ+181%

2位:日本高純度化学+155%

3位:ショーエイC+131%

最下位:きもと+77%

23社平均+115%

 

12. 成長性:5年間での当期純利益の伸びの額

1位:大阪有機化学+17億円

2位:JCU+10億円

3位:星光PMC+9億円

最下位 :シーボン△12億円

平均+2億円

 

13. 成長性:5年間での当期純利益の伸びの%

1位:ショーエイC+2,050%

2位:新日本理化+460%

3位:ウェーブロックHD+306%

※最下位と平均は割愛

 

中堅化学メーカー23社のランキングベスト3位を発表

第3位:8ポイント獲得

第3位は日本高純度化学です。(売上130億円)

日本高純度化学は、電子部品の接点や接続部位に用いる貴金属メッキ薬品の専業の会社です。

この会社を語る上で欠かせないのは、人員の驚異的な少なさです。

なんと45名しか従業員がいないという正に少数精鋭です。

子会社がないという単体の会社ですが、ここまで少ない化学の会社はかなり珍しいです。

工場もあるようですが、本社と一体のようで非常にコンパクトです。

新卒採用はしていないわけではなく、1~5名を採用予定としていました。

従業員推移

従業員の推移は5期前が51名でそこから減少し、45名という動きです。

平均勤続年数も11.1年と特別に長いわけでもなく、ある程度の退職もあるということでしょう。

販売実績

販売実績を見ると、リードフレーム用やプリント基板用などが多いようです。

リードフレームとは半導体パッケージに使われる、外部配線との接続をするための部品です。

そのメッキのための薬品を作るという、文系の私には少しイメージしにくいものですが、電子部品向けめっき薬品で世界トップシェアを誇るようです。

日本高純度化学は自己資本比率で1位、一人あたり当期純利益で1位、売上の伸びの額で2位という結果でした。 

これだけ少ない人員で稼げるというのは強みでしょうし、これからの時代に合った会社と言えるかもしれません。

 

第2位:11ポイント獲得

第2位は大阪有機化学工業です。(売上286億円)

 

 

大阪有機化学工業はアクリル酸エステルに強く、多品種少量生産が得意な独立系化学メーカーです。

セグメントは3つです。

 

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大阪有機化学工業販売実績

化成品事業はアクリル酸エステルが中心で、塗料・粘接着剤・インキ向けです。

電子材料はディスプレイ・半導体が中心。

化粧品向け原材料を扱うのが機能化学品となっています。

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相手先

販売実績を見ると、三菱ケミカルとJSRがかなりの金額で、2社で28%も占めるという正にお得意様という顧客です。

 

 

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セグメント

セグメントの利益率を見ると、電子材料がダントツで約20%です。

化成品は7%、機能化学品は12%と、売上と利益では見え方が変わります。

 

海外売上比率は18%とやや少なく、海外のエリアではアジア・豪州がトップとなっています。

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大阪有機化学工業海外

 

大阪有機化学は当期純利益、時価総額で2位、5年間での当期純利益の伸びの額1位、利益率でも3位など、収益性の高い会社と言えます。

大阪有機化学工業は私も就活時に説明会を予約した記憶があり、大阪のスカイビルにたどり着けずキャンセルという恥ずかしい思い出があります。

 

第1位:16ポイント獲得 

第1位は圧倒的にJCUでした。(売上223億円)

なんとこちらも日本高純度化学同様にメッキ薬品大手の会社です。

こちらは自動車、電子部品向けに強みがあります。

旧社名は荏原(えばら)ユージライト。

JCUを語る上で外せないのは利益率の高さです。

当期純利益率が約20%という驚異的な数値で、今まで見てきた化学メーカーの中で一番高いです。(最初のトップは日産化学の15%で、前回は扶桑化学工業の17%)

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JCU

当期純利益率の推移を見ると、5期前から17%→20%→21%→20%→20%とマグレではないことが分かります。

海外売上比率も7割を超えているようです。(国ごとのデータは有報にはなし)

セグメントは2つで薬品と装置に分かれています。

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JCUセグメント

利益で見ると装置は若干の赤字であり、薬品事業がメインと考えていいでしょう。

ただし業界では数少ない薬品と装置の一体販売のようで、セットと判断出来る部分もありそうです。

 

JCUは当期純利益の額、利益率、5年平均の当期純利益、時価総額で1位と四冠、当期純利益の伸びでも2位ととにかく強かったです。

これだけ利益率が高いのにはびっくりしました。

やはり売上順で見ていくと、このような高収益の会社を見逃してしまう可能性がありそうです。

この23社の中では唯一の時価総額1,000億円超えも納得でした。

ランキング以外の要素

今回もランキングでは加点しない、要素を3つだけ紹介します。

ただしHD(ホールディングス)の会社は、数値が上ブレしている可能性があります。

1. 平均勤続年数が長い会社

1位:きもと:20.8年

2位:ラサ工業:19.2年

3位:星光PMC:18.4年

最下位:OATアグリオ: 6.3年

20社平均:14.3年

5年の平均の当期純利益では、最下位だったきもとですが、平均勤続年数ではトップとなりました。

最下位のOATアグリオは異常に短く、何かあるのでは?と疑ってしまいます。

ただし設立から約10年の会社なので、それを考慮すればそんなに不思議ではないのかもしれません。

ちなみに次点はシーボンの9.7年でした。

 

2. 平均給与が高い会社

1位:日本高純度化学:827万円

2位:JCU:778万円

3位:ニイタカ:766万円

最下位:シーボン:407万円

23社平均:637万円

予想通り、従業員が少ない日本高純度化学が1位になりました。

シーボンは直近の決算では赤字で仕方がない部分もあるでしょう。

ちなみに次点はきもとの504万円で、給与はそれほど高くはありませんが、勤続年数は長いという働きやすい会社のようです。 

 

3. DOE(純資産配当率)が高い会社

1位:JCU:5.2%

2位:ショーエイC:4.8%

3位:日本高純度化学:4.5%

20社平均:2.4%

※赤字の3社は抜いて計算 

以前、紹介したDOEを調べてみると、JCUの5%超が1位でそれほど大きな差はありませんでした。

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まとめ

本日は売上100億~300億円の中堅化学23社を分析しました。

まとめると、

  • 売上100億~300億かつ東証一部だと23社あった
  • 収益性・安定性・成長性で見ると、ベスト3は上位からJCU、大阪有機化学工業、日本高純度化学
  • 平均勤続年数のトップはきもとで20.8年
  • 平均給与のトップは日本高純度化学で827万円

3回に分けて紹介した中堅化学シリーズも、ひとまずまとめが終了しました。

ランキング形式にすると、企業の詳細を紹介する時間が足りないので、 今後は個別の企業の掘り下げもやってみようかなと思っています。

分析は数字を集めたり、特色を探すのに時間がかかりますが、やっぱり自分の手を使うことで色々なことが見えてきます。

少しでも参考になれば幸いです。 


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ここまでお読みいただきありがとうございました。