意外と知らないレアな決算日、知っている人は間違いなく通です。
突然ですが、皆さんに質問です。
キーエンスという日本4位の時価総額12兆円の会社を知っているでしょうか。(当期純利益では日本で29位の約2,000億円)
年収が高いことでも有名ですが、 このキーエンスの決算日がいつか知っていますか?
本日はそんな決算日や決算期の話をします。
社会人になれば、自分の会社の決算期を知らないわけにはいきません。
この記事を最後まで見て、バッチリと決算期について理解しましょう。
決算期変更についても紹介をします。
結論:キーエンスの決算日は3月末ではない
決算期とは?
まずは決算期とは何かということから解説します。
決算期とは、決算日という終わりの日を決めるということです。
会社は1年間の成績を基に、税金の支払金額が決まります。
1年のスタートの日または終わりの日を選べば、それが決算期として表現されます。
日本の上場会社で多いのは3月31日を決算日とする、決算期を3月とする会社が多いです。(上場会社の約7割)
この場合、4/1スタートで、終わりが翌年の3/31ということです。
重要なのは、期の終わりを月末にしなくても良いということです。
冒頭の質問の答えですが、キーエンスの決算日は3月20日なのです。
しかし決算日が決算期の判断基準となるので、キーエンスは3月決算となるのです。
これは3/21~翌年3/20という少し変則的に見える1年間の区切りです。
当然ながら、月末を決算日にする会社がほとんどで、上場会社約3,700社の内、なんと52社が月末以外の決算日としています。
わずか1.4%に過ぎないというかなりレアなケースと言えるでしょう。
そのレアケースを見ると、キーエンスのように決算日を20日としている会社がほとんどで、15日と25日にしているのが数えるほどです。
私は20日が決算日という会社で働いたことはありませんが、月末月初の慌ただしさがないというメリットはまず思いつきました。
社会人になると「締め」という言葉をよく聞くことになります。
自分の会社の締めや決算日は理解しておきましょう。
決算期は自由に変えて良い
キーエンスも実はそうですが、決算期は自由に変更することが出来ます。
つまり最初は3月31日を決算日としていたとしても、それを6月30日にしようが11月15日にしようが、企業の判断で変更が出来るということです。
キーエンスの決算日の変更理由は、税務的に有利だからという理由のようです。
有報を見ても、ちょくちょく決算期を変更しています。
これだけ頻繁に決算期を変えている会社は、キーエンスくらいなのではないでしょうか。
それだけ決算期を変えることで、節税出来る金額が大きいということでもあるでしょう。
何しろ、日本でベスト30に入るほどの利益があるわけで、節税効果もかなりの大きさになるはずです。
変則決算とは?
このように、決算期を変更することで変則決算となっています。
変則決算とは、通常は1年間である決算期が、1年より短いまたは長い場合の決算を指します。
例えば、3月決算だった会社が12月決算に変更する場合、下記のようになります。
スタートは4/1で、元々は終わりが翌年の3/31だったものを12/31に変更するので、9ヶ月間の決算になるということです。
これなら9ヶ月の変則決算ということになります。
1年以上となる変則決算は?と言うと、例えば大塚家具は12月決算だったものを4月決算に変更しています。
久美子社長の話はこちらです。
www.finance-accounting-value.com
この場合、1/1~4/30の4ヶ月決算とするか、1/1~翌年4/30の16ヶ月決算とするかを選べます。
大塚家具は16ヶ月にしています。
ただし、最長は18ヶ月(1年半)と定めているので、20ヶ月の変則決算なんてことはありえないということです。
決算期変更には目的があるのですが、経理からすると比較資料作成が面倒という側面があります。
例えば、12ヶ月の通常決算と9ヶ月の変則決算では同じ土俵で比べることが出来ません。
9ヶ月を9で割って、12倍すれば大体同じとアバウトに考えればそうなのですが、売上ぐらいしか当てにならないでしょう。
費用の部分で、齟齬が出てしまいます。
決算伝票と言って、4半期または本決算の時だけ入れる伝票があり、こういうものがあると、比較が難しくなるのです。
決算期変更のパターン
決算期変更にはよくあるパターンがあります。
それは3月決算の会社が12月決算に変更するというものです。
ここにはIFRSの適用も絡んできます。
キーとなるのは海外にある子会社で、海外の会社の決算期は12月がほとんどです。
しかし、日本の会社は3月ということで、連結決算をする際には日本の4月~3月と海外の1月~12月をくっつけるという不思議なことが行われています。
つまり、海外の子会社は3ヶ月遅れた分をくっつけているということです。
もちろん、この海外子会社の3ヶ月のズレは、会計ルールとして容認されているものです。
12月決算にするということは、日本の会社の決算期を変えるということで、そうすれば1~12月の決算をキレイにくっつけることが出来るということです。
日本基準からIFRSに移行する際に、決算期も12月にする形で統一することがあります。
まとめ
本日はキーエンスの決算日を例に、決算期とはという話をしました。
まとめると、
- 決算日とはどこを1年の終わりにするかというもので、企業が自由に決めれる
- 月末が多いが、キーエンスの20日などの月中にするパターンもレアだがある
- 決算日は変更が自由に可能
- 変則決算は1年より短いまたは、1年半までの1年を超えるケースどちらかを選ぶ
- 変則決算は経理にとって比較が面倒
- 決算期を動かすパターンは3月決算を12月決算に変えることが多い
- 海外の子会社に合わせるという意識があり、IFRSともリンクしている
実は、私もキーエンスが20日締めを知ったのは最近でした。
52社のレアなケースにキーエンスが含まれているのが、個人的には意外に感じました。
きっと経営哲学や効率性、生産性からこうしているのでしょう。
キーエンスももっと調べてみたい会社でもあります。
GAFAの決算書 超エリート企業の利益構造とビジネスモデルがつかめる
ここまでお読みいただきありがとうございました。