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【上場化学分析】本州化学工業の優位性を見てみる【YouTube動画あり】

【上場化学分析】本州化学工業の優位性を見てみる

【上場化学分析】本州化学工業の優位性を見てみる

本州化学工業の優位性 

本日は、上場化学メーカー分析の第1回として、本州化学工業を見ます。

先日の化学メーカーでエントリーすべき47社でも、三つ星として紹介した会社となります。

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私も就活時には知らなかった本州化学工業ですが、当期純利益率・平均勤続年数・平均給与全てで優秀な会社でした。 

この会社の優れている部分はどこなのか?を有報(有価証券報告書)から探してみようという意図です。 

是非、最後までご覧下さい。

結論:三井化学と三井物産がキー

本州化学工業とは? 

本州化学工業は東京本社の東証二部の会社です。

設立は1914年、和歌山に工場を持ち、液晶ポリマー用のビフェノールの生産に強みがあります。

業績推移

売上は213億円、当期純利益は17億円ほどです。
5年の推移で見ると、3期前くらいから特に高収益になり、当期純利益率が8%を超えています。

5期前は4%なので、2倍になっています。

関係会社

連結子会社は1社のみで、ドイツに拠点があります。

大株主でも紹介しますが、三井化学と三井物産が27%ずつ所有するという三井グループの会社です。

ハイビス社

このドイツにあるハイビス社も売上が大きく、売上31億円で、当期純利益は9.9億円です。

なんと子会社単体の当期純利益率は32%と驚異的な高さ、この会社が連結の約半分の利益額を稼いでおりインパクトが非常に大きいです。

 

従業員数は315名、平均勤続年数が17年、給与は823万円と優秀な会社です。

給与など

販売実績はかなり三井物産に依存しており、なんと40%以上が三井物産向けで、コベストロというドイツの上場化学メーカーにも15%ほどとなっており、この2社で全体の半分以上です。

販売実績

 

ちなみに三井化学の販売実績を見ると、三井物産向けが17%もあり、やはりグループとしての依存関係がよく分かります。

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三井化学

 

セグメントは3つで、化学品・機能材料・工業材料です。

区分としては、化学品がビフェノール、電子材料が機能材料、ドイツのハイビス社の工業材料となっています。

区分

利益率も見ます。

セグメント情報

売上は化学品が大きいですが、利益では機能材料と工業材料が優秀です。

利益率は化学品9.9%、機能材料16.1%、工業材料34.6%と圧倒的な差です。

冒頭で紹介したようにドイツにある子会社のハイビス社が高収益で、工業材料が儲かるビジネスのようです。

ハイビス社には技術ライセンスの供与もしており、この技術が強みと言えるでしょう。

本州化学工業の仕入れに関しては、三井化学に依存しているようで、株主の影響が大きい会社です。

社内の取締役の出身は、三井化学3名、三井物産3名、生え抜きの平の取締役1名とパワーバランスが分かりやすい構造になっています。

 

海外売上比率は40%が海外向けで、欧州のベルギーとアジア向けが15%ずつというイメージです。

海外比率

こんな本州化学工業ですが、2020年に大きなニュースがありました。

 

そもそも東証二部って?

そのニュースの前になぜ東証二部なのかという点を確認しましょう。

私は化学メーカーを中心に就活していましたが、エントリーしたのは東証一部の会社ばかりでした。

しかし、当時の私は東証一部と二部の違いも理解していませんでしたし、単純に規模が大きい会社を選んで東証一部になっただけです。

 

ここで東証一部と東証二部をおさらいしましょう。

新規で上場する会社は、自分達の規模などから上場する市場を選択します。

現在は4つの市場がありますが、2022年4月にはこれが3つに変更となります。(プライム・スタンダード・グロース)

そして会社の意思で指定替えという昇格をすることになります。

それぞれの市場に条件があり、それを満たしていなければ昇格は出来ません。

しかし、東証が勝手に判断するのではなく、会社側が昇格の申請をして指定替えとなります。

原則だけなら、規模が大きいのに東証二部に留まるという選択肢もあるということです。 

少なくとも22卒の就活では東証二部だから、避けるというのは意外ともったいないかもということが言いたいことです。 

 

東証二部からレベルアップすれば東証一部なのですが、現状は東証一部に会社が集中するという事態になっています。

上場会社は約3,700社あり、下記のような会社数の分布です。

  • 東証一部:2,187社(59%)
  • 東証二部:476社(13%)
  • マザーズ:347社(9%)
  • JASDAQ:705社(19%)

サッカーで例えるなら、J1とJ2で今の状態はJ1にチームが100チーム存在していて、J2が20チームのようなものです。

しかも、ほとんど一部から二部へ降格する会社がないので、一部上場の会社が増えるばかりで、その中には過去の栄光にすがるような会社もあります。

これを是正するという意味もあり、22年4月に市場の再設定がされるという経緯です。

 

基準を見ると、本州化学工業は時価総額250億円の基準のみ満たしていないような感じです。(12/31現在208億円)

www.jpx.co.jp

 

本州化学工業は上場廃止へ

そんな本州化学工業ですが、11月にとあるリリースが出ています。

リリース

そのリリースとは、筆頭株主である三井化学と三井物産がTOBするというものです。

21年5月を目処に、三井化学と三井物産が本州化学工業の株を買い占めてしまうようです。

完了時の株式の比率は三井化学51%、三井物産49%となり、本州化学工業は三井化学の連結子会社となる予定です。

三井物産からすると本州化学工業の49%保有なので、持分法適用会社となります。

これにより本州化学工業は上場廃止になります。

上場廃止という言葉だけを聞くと、良くないイメージがあるかもしれませんが、この場合は三井化学グループになるだけです。

ただし、有報の作成等もなくなるので平均給与や勤続年数という情報は、有報からは入手することが出来なくなります。

 

採用はどうなる?

ちなみに就職四季報の22年総合版を見ると、本州化学工業は20年は数名の採用のようでした。

21卒用のページを見ると、通常のメーカーとは違った採用のようにも見えます。

募集

研究開発、プラントエンジニアリング、オペレーター(生産管理的な?)の3つとなっています。

もちろん、足りない部分だけピンポイントで補強している可能性もありますし、22年も同様という保証があるわけではありません。

ただ三井化学の子会社のメーカーになると考えると、それほど大きくは方向転換もなさそうなので、すぐにホワイト企業でなくなるとは思いません。 

 

まとめ

本日は東証二部の本州化学工業の優位性について紹介しました。

まとめると、

  • 本州化学工業は液晶ポリマー用のビフェノールに強みを持つ
  • 2018年から利益率が2倍に成長した
  • ドイツの子会社がかなり稼いでおり、工業材料用が利益を支えている
  • 販売は三井物産に集中していて、仕入れは三井化学に頼る
  • 元々三井化学と三井物産が27%ずつ所有していた
  • 東証二部という呼ばれ方は22年4月になくなる
  • TOBで三井化学の子会社となる予定で、本州化学工業は上場廃止になる
  • 21卒採用では、少し特殊な募集だった
  • 三井化学の子会社となり、安定性はそれほど変わらないはず

やはり業績を見ないと、強みがどこにあるかは分かりません。

さらにここまで三井化学と三井物産との関わりが強いとは思っていませんでした。

私のように調べもせずに面接に臨んでいれば、通過率も下がるでしょう。

この動画が少しでも企業の理解に役立てば幸いです。 


就職四季報2022年版

 

就職四季報を使って化学メーカーでホワイト企業を探しました。

www.finance-accounting-value.com

動画版はこちら

youtu.be

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。