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【商社】7大商社以外の卸売業20社で優秀な会社はどこ?

【商社】7大商社以外の卸売業20社で優秀な会社はどこ?

【商社】7大商社以外の卸売業20社で優秀な会社はどこ?

7大商社以外の卸売業20社分析

本日は、7大商社以外の卸売業の上場会社20社を分析し、一番優秀な会社を探します。

商社と言えば、5大商社や7大商社が有名です。

7大商社の売上が大きい順は、下記の順番です。

  1. 三菱商事:14.7兆円
  2. 伊藤忠商事:10.9兆円
  3. 三井物産:6.8兆円
  4. 丸紅:6.8兆円
  5. 豊田通商:6.6兆円
  6. 住友商事 :5.2兆円
  7. 双日 :1.7兆円

この数値だけを見ると、三菱商事と伊藤忠が飛び抜けて4社がほぼダンゴ状態、双日がかなり小さいことが分かります。

今回はこの7大商社以外の、卸売業の会社にフォーカスを当ててみます。

前回は中堅化学メーカー53社でした。

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結論:かなり接戦になったトップ争い

卸売業と商社の違いって何? 

まずは卸売業と商社の違いを少しだけ紹介します。 

一言で言うと、商社は卸売業に含まれます。 

つまり商社は卸売業ですが、卸売業の会社が商社であるとは限らないとなります。

特徴の一つとして、商社は物流機能を持たず商流のみ、商社以外の卸売業は物流機能を持っているという違いがあります。

今回は東証の業種分類でもある卸売業の売上ランキングから、7大商社を除いた20社を見ます。

卸売業で検索すると328社が該当(東証一部上場なら179社)し、一番小さい会社の売上を6,000億円としました。

最大はメディパルホールディングスの3.3兆円で、6社が双日の売上を上回っています。

13の項目で見る

企業の財務分析には、3つの観点があります。

  1. 利益が稼げているかという収益性
  2. 財務が安定しているかという安定性
  3. これから伸びるかという成長性

卸売業の特徴は売上高の金額は大きいですが、利益率はメーカーなどと比較すると低くなっています。

薄利多売のビジネスモデルで、とにかくコツコツ数の原理で積み上げていくイメージです。

13個の観点で、上位の3社に得点を付けていきます。

1位なら3ポイント、2位なら2ポイント、3位なら1ポイントです。

最大で39ポイントとなっています。

 

1. 収益性:当期純利益の金額の大きさ

1位:アルフレッサHD+403億円

2位:メディパルHD+380億円

3位:スズケン+282億円

最下位:阪和興業△137億円

20社平均+156億円

 

2. 収益性:当期純利益率

売上と当期純利益の比率

1位:キヤノンMJ+3.6%

2位:岩谷産業+3.1%

3位:PALTAC+2.4%

最下位:阪和興業△0.7%

20社平均:+1.4%

 

3. 収益性:5年間の平均当期純利益額

1位:アルフレッサHD+367億円

2位:メディパルHD+334億円

3位:スズケン+255億円

最下位:伊藤忠食品+35億円

20社平均+152億円


4. 収益性:従業員一人あたり当期純利益
※正社員のみ

1位:PALTAC+1,157万円

2位:三愛石油+411万円

3位:ダイワボウHD+375万円

最下位:阪和興業△296万円

20社平均+263万円


5. 安定性:総資産

1位:メディパルHD:1.6兆円

2位:アルフレッサHD:1.4兆円

3位:スズケン:1,1兆円

最下位:三愛石油:1,792億円

20社平均:6,003億円


6. 安定性:自己資本比率

1位:キヤノンMJ+64%

2位:三愛石油+53%

3位:PALTAC+52%

最下位:神鋼商事+18%

20社平均+36%


7. 安定性:現預金

1位:メディパルHD:2,245億円

2位:アルフレッサHD:2,092億円

3位:スズケン:1,752億円

最下位:伊藤忠食品:108億円

20社平均:672億円 

 

8. 成長性:時価総額(投資家の期待)

1位:メディパルHD:3,587億円

2位:アルフレッサHD:1,676億円

3位:スズケン:1,539億円

最下位:神鋼商事:166億円

20社平均:2,021億円


9. 成長性:5年連続で増収増益しているか?

※20社の中で、3社が該当

1位:PALTAC

1位:ダイワボウHD

1位:あらた


10. 成長性:5年間での売上の伸びの額

※5年前と直近を比較

1位:日鉄物産+5,495億円

2位:阪和興業+3,957億円

3位:ダイワボウHD+3,656億円

最下位:三愛石油△788億円

20社平均+1,355億円

 

11. 成長性:5年間での売上の伸びの%

1位:ダイワボウHD+163%

2位:日鉄物産+129%

3位:阪和興業+126%

最下位:三愛石油+89%

20社平均+112%

 

12. 成長性:5年間での当期純利益の伸びの額

1位:ダイワボウHD+159億円

2位:PALTAC+135億円

3位:岩谷産業+86億円

最下位 :阪和興業△392億円

20社平均+18億円

 

13. 成長性:5年間での当期純利益の伸びの%

1位:ダイワボウHD+400%

2位:あらた+225%

3位:PALTAC+213%

※黒字から赤字パターンがあるので

最下位と平均は割愛

 

卸売業20社のランキングベスト3位を発表

第3位:12ポイント獲得

第3位はアルフレッサHDです。(売上2.7兆円)

アルフレッサHDは医薬品の卸の会社で、業界No.1です。

第一三共などの製薬会社から仕入れ、医療機関・調剤薬局などに販売するというビジネスモデルです。

HPを見に行くと、独禁法違反のリリースが出ていました。

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独禁法違反

セグメントは4つに分かれています。

アルフレッサセグメント

金額は大きくありませんが、医薬品等の製造事業も行っているようです。

医療用医薬品卸の利益率は1.7%、セルフメディケーションは1%、製造事業は5.1%と利益率にも差があります。

 

アルフレッサHDは、 当期純利益の大きさ、5年平均の当期純利益でも1位、総資産・現預金・時価総額で2位でした。

高収益を少しだけ支えているのが、医薬品等の製造のようです。

 

第2位:13ポイント獲得

第2位はメディパルHDです。(売上3.3兆円)

実はメディパルも医薬品の卸の会社を傘下に持っていて、業界No.2のメディセオという会社です。

さらに、今回のランキングでも登場したPALTACも傘下に持っている、親子上場です。

PALTACは日用品雑貨の卸の大手です。

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セグメントは3つです。

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メディパルセグメント

医療用医薬品とPALTACの化粧品・日用品など、そして額は小さいですが動物用の医薬品なども扱っているようです。

売上の主力は医療用医薬品ですが、利益額では化粧品・日用品も健闘しています。

利益率で見ると、医療用は1.2%、化粧品・日用品2.4%と、医療用はそれほど稼げないようです。 

HPを見ると、こちらも独禁法違反のリリースが出ていました。

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メディパル独禁法

 

メディパルHDは、 当期純利益の額・5年平均の当期純利益で2位、総資産・現預金・時価総額で1位でした。

非常に安定性が高い会社と言えます。

 

第1位:14ポイント獲得

第1位はダイワボウHDです。(売上9,400億円)

ダイワボウ情報システムが中核の会社で、ITインフラの卸業です。

パソコンから周辺機器、ネットワーク・システムなどITの専門商社です。

この分野のライバルは大塚商会です。

元々の社名は大和紡績で、繊維事業からスタートした会社です。

似たような創業例は、クラボウなども有名です。 

セグメントを見ると、IT部門が売上の91%と圧倒的です。

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ダイワボウセグメント

利益の額でもITが全体の86%と牽引しています。

ただし、利益率はITが3.3%、繊維が5.2%、産業機械が5.8%とITが一番低くなっています。

ダイワボウにも不祥事があり、今年の9月に循環取引をして売上と利益を水増ししていたことが発覚しました。

循環取引とは、架空の取引を複数の企業で繰り返す行為を指します。 

これが2014年から発生していたようです。

不正の当期に与える影響は売上が6億円、営業利益が20億円それぞれマイナスとなったようです。

ただし、過年度については影響が軽微で修正はしないとしています。

 

ダイワボウHDは、5年連続で増収増益を果たして、売上と当期純利益が5年前と比較してともにかなり大きくなった、成長性が高い会社です。

当期純利益は、5年前と比較すると4倍になっています。

主力のIT関連もテレワークの需要もあるでしょうし、これからも伸びそうです。

 

ランキング以外の要素

今回もランキングでは加点しない、要素を2つだけ紹介します。

ただしHD(ホールディングス)の会社は、数値が上ブレしている可能性があります。

1. 平均勤続年数が長い会社 

1位:キヤノンMJ:24.6年

2位:ダイワボウHD:22.1年

3位:PALTAC:19年

最下位:阪和興業: 12.6年

20社平均:16.4年

まずは平均勤続年数が長い会社を見ます。

1位となったのは、キヤノンマーケティングジャパンで驚異の24.6年です。

しかもHDではない純粋な数値なので、かなり働きやすい会社です。

キヤノンが58.5%を持つ会社で、親会社のキヤノンの平均勤続年数は19.5年で5年も短いという関係です。

全業界で見ると京阪電気鉄道の26.5年が最長のようです。

 

2. 平均給与が高い会社

1位:長瀬産業:1,004万円

2位:岩谷産業:917万円

3位:伊藤忠エネクス:915万円

最下位:あらた:540万円

20社平均:762万円

1位は、化学品専門商社の長瀬産業の1,000万円超えとなりました。 

私も就活時には長瀬産業のことは知りませんでしたが、かなり給与が高い会社です。

長瀬産業の売上は8,000億円で、平均勤続年数は15年となります。

一方で意外にも平均給与が低い会社もあり、売上と平均給与はリンクしないことがよく分かります。 (最下位のあらたも売上は約8,000億円)

 

まとめ

本日は7大商社以外の卸売業20社を分析しました。

まとめると、

  • 売上3.3兆円~0.6兆円の会社20社を分析
  • 収益性・安定性・成長性で見ると、ベスト3は上位からダイワボウHD、 メディパルHD、アルフレッサHD
  • 平均勤続年数で見るとトップはキヤノンマーケティングジャパンの24.6年
  • 平均給与では長瀬産業の1,004万円がトップ

卸売業という括りで見ると、知らない会社ばかりでした。

全体的な傾向はあるものの、各社の数値は本当に様々で、調べてみないと分からないことだらけです。

企業研究も奥が深いと、就活時には全然調べなかった経理マンは、つくづく感じました。

 


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ここまでお読みいただきありがとうございました。