経済ニュースを見る時の3つのポイントとは?
本日は、就活生や若手のビジネスマン向けに、経済ニュースの読み方を紹介します。
私は就活生は日経新聞を読めと言われ、無料体験をしたけど、一度も読まなかった大学生時代でした。
その後、たまたま経理マンになり、数字に触れることが多く経済ニュースが少し面白くなりました。
そんな私が、大学生時代の自分にメッセージを送るつもりで経済ニュースの読み方を紹介します。
就活生でニュースが面白くないと思われている方は多いと思いますが、少しでも興味を持ってもらえるよう具体的な話をします。
是非、最後までご覧下さい。
似たようなテーマとしては、企業分析の方法も以前紹介しています。
www.finance-accounting-value.com
結論:株主視点で考えると違う見方になる
前提
前提として就活にせよ、社会人にせよ日経新聞でなければならないということはありません。
経済ニュースなら新聞のような紙媒体でも、Yahoo!ニュースのようなWebでも何でもOKです。
大事なのはまず興味を持つことからスタートです。
そして日経新聞を読む際にも、全部の記事を読む必要はありません。
まずは、自分が興味のある部分だけを読むことが重要です。
そして今回は政治や芸能といったニュースは除外します。
ポイント①特定の会社のニュースに注目しよう
よくミクロとマクロという言葉を聞くと思います。
これはミクロとは個別の会社の具体的なレベルで、マクロは景気などの大きな抽象的な話かという違いです。
マクロのニュースはGDPがどうなったとか、為替の動きなどを指し、ややイメージしにくい可能性があります。
こういったニュースは経済に与える影響力は大きいかもしれませんが、経済ニュース初心者が最初に読むべきとは思いません。
まずは特定の会社の具体的なニュースから読むことをオススメします。
例えば、ユニ・チャームが中国で好調なんてニュースから読んで見るということです。
こういったニュースだと、その会社がどのような手法で、成長しているのかということが分かります。
就活生で興味のある業界があるなら、その業界に属する企業の好調・不調の原因や、どのような対策を取るのかという点を知っておくと企業同士での比較も可能です。
ビジネスマンなら自分の業界の会社のニュースを見れば、業界の流れを理解することが出来ます。
企業間の比較なら、ユニ・チャームは広告宣伝費を花王に比べ使っていないという視点もあるでしょう。
これは抽象化という概念とも言えます。
化学メーカーで例えると、トクヤマという会社は海外のマレーシアでの生産を目指しましたが結果的に失敗しました。
これだけなら、ただの個別の話ですが、同様にメーカーの海外の工場には減損のリスクがあると考えれば、生産能力の高い工場を海外に持っている会社はどうなる?など色々な会社を見ることが面白くなります。
ポイント②売上は飾り、大事なのは利益
さて、特定の会社のニュースで大事なのは利益です。
経済ニュースを見る際には、それによって利益がどうなるのか?をまず意識しましょう。
先程出てきたメーカーなどでは減損という固定資産などの価値をマイナスする処理があります。
減損のニュースならそれが費用になるので、20億円利益が減るなどと表現されます。
これなら売上が出てくることはありませんが、そもそも会社の売上の増減には注目する必要はほとんどありません。
なぜなら売上が上がっても利益が減っていれば意味がないからです。
「増収増益」という言葉があります。
これは前年と比較して、売上が上がって利益も上がったことを意味します。
これには4パターンあり、増収増益、増収減益、減収増益、減収減益です。
売上が上がって、利益は下がるのは増収減益ですが、とにかく利益が大事なので、売上がどうだったかは重要度は低いです。
利益にも種類がありますが、まずは最終利益と呼ばれる当期純利益を抑えましょう。
これが前年と比較して成長していれば、まずは合格点と言えるでしょう。
会社のアピールポイントとして、売上が200%成長なんて表現をしている会社もありますが、売上しかアピール出来ない会社は二流です。
売上がどれだけ伸びていようが、利益が伸びなければ何の意味もないからです。
利益が伸びていることがアピール出来ないから、売上の伸びを強調しごまかしているだけです。
売上を重視するとすれば、利益率がほぼ一定である商社のビジネスなどです。
商社業界は利益率が高くなく、売上とほぼ比例して一定の少額の利益が増えます。
似たようなビジネスとして銀行などの金融もあります。
一方、メーカーであれば製品によって利益率が異なることがあり、利益率の良い製品が売れれば利益率がアップしますし、逆に売上が増えても利益率が増えないケースもあり得ます。
ポイント③株主視点で見ると、真逆の結果に
最後がニュースは株主視点で見ると面白いという話です。
ここが本日一番強調したいポイントです。
例えば、サイゼリヤの値上げを例に考えてみましょう。
ニュースを見る視点として、大多数の人はユーザー(消費者)視点です。
サイゼリヤの値上げだけを見ると、利用者としては嫌でしょう。(ここでは単純に値上げのみにフォーカスします)
今までもっと安かった商品が、少し高くなってしまうので、歓迎すべき理由はないでしょう。
「今までの価格が安すぎた!」なんて考えてくれる超コアユーザーもいるのでしょうが、少数派です。
しかし、これを株主視点で見ると、全くの逆の視点となります。
株主とは会社の株式を所有している人物のことで、会社の経営に対し一定の力を持つ存在です。
もちろん、サイゼリヤの株主に実際になる必要はなく、あくまでもイメージで十分です。
株主が求めるのは配当や株価の上昇で、これを達成するために利益を伸ばすことが大事です。
もちろん、株主からしても売上だけ伸びて利益が下がるのはNGです。
価格を上げるということは利益が大きくなる可能性があるということです。
もちろん、価格が上がったことで、サイゼリヤを避ける人もいるでしょう。
しかし、それ以上の効果があるからこそ、値上げという選択を取っているのです。
企業は内部に莫大な顧客のデータを持っています。
例えば、顧客の平均単価だったり、一日当たりの来店人数など、正に砂浜にある砂粒のようなものでしょう。
その情報を用い、判断したことが間違うこともありますが、基本的にわざと失敗する戦略を取る会社はありません。
あくまでも挑戦したけど、失敗したというだけです。
株主視点なら、これでサイゼリヤの利益が上がるとも考えられます。
というより、既に株主であれば、その会社の全てのアクションを良い方向に捉えるしかないとも言えます。
こうなると、ユーザー視点とは逆の見え方になります。
サイゼリヤを利用するのは年間で1.6億人いるようです。
そして個人としてサイゼリヤ株主なのは1万人程度でしょう。
つまり、声が多いのは株主ではなくユーザーであり、SNSを見れば値上げについて否定的な意見が聞こえてくるのが普通です。
意見として価値があるのはどちらか?と考えてみると、誰でも思いつくことには需要はないでしょう。
株主視点でなぜこのような行動を取るか?と考えられる方が、より柔軟性があるとも言えます。
常に株主視点で考えることが絶対正しいと言うつもりはありません。
しかし、普段とは違うまたは人とは違う考えから、新たな発想が生まれます。
私の過去の記事も、以上のように利益重視や株主視点でどうか?という構成に実はなっています。
まとめ
本日は、日経新聞などの経済ニュースを読む際の3つのポイントを紹介しました。
まとめると、
- 前提は日経新聞である必要はなく、まずは興味のある部分だけで良い
- ①特定の会社のニュースを見た方が具体的にイメージしやすい
- ②利益が一番大事、売上は一旦忘れよう
- ③株主の視点はユーザーの視点とは逆である
- ユーザーの方が絶対数は多いが、敢えて少数派に回り違う角度から考えることが大事
これで少し経済ニュースの見え方が変わってきたのではないでしょうか?
ニュースは一つだけでは意味を持たず、複数のニュースから新たな知見が得られると思います。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。