主に就活生向けに、商社が事業活動を行っていく上でのリスクを紹介します。
商社で経理マンとして働いていた頃、リスクについて考える機会が多かったように感じます。
本日は就活生や、これから初めて商社で働く方向けとして、商社の事業上のリスクを4つ紹介します。
もちろん、これ以外にもたくさんありますので、気になる方は有報などで確認してみてはいかがでしょうか。
結論:大きく市場のリスク、在庫のリスク、回収のリスク
商社の4つのリスク
早速4つのリスクを紹介します。
①経済環境の変化によるリスク
これは経済環境が悪い方に変化することで、ビジネスが縮小するリスクです。
コロナウイルスの影響で会社や経済活動はダメージを受けています。
こんな状況では、今まであった需要が小さくなることも考えられます。
もちろん、全ての需要が下げるというわけではありません。
乱暴に考えれば、人口が増えることで経済環境は改善・拡大の方向に進むとも考えられます。
しかし、短期的には様々な変化によって、需要が小さくなることもあるということです。
②商品市況リスク(※為替リスクも含む)
これは商品の市況が悪化して、採算が悪くなるというリスクです。
例えば、天然ガスの値段は日々変動しています。
商社にとって、悪い方向に進むことも考えられます。
これは為替も同様です。
外貨建ての取引があれば、為替リスクに晒されることになります。
為替レートは日々変動しています。
円安に進むことで得をすることもあれば、円高で得をする場合もあります。(輸出側なら円安が有利、輸入なら円高が有利)
このように、自社の思惑とは無関係に為替は変動するので、これもリスクと言えるでしょう。
為替に関しては、為替予約という形で、リスクヘッジするケースがあります。
しかし、為替予約もリスクの軽減に過ぎません。
完全にリスクをなくすということではないという点に注意です。
③在庫リスク
これは在庫が捌けないというリスクです。
例として、転売ビジネスで考えてみましょう。
Nintendo Switchを大量に仕入れたけど、なぜか値段が下がってしまっては、在庫だけ抱えることになってしまいます。
商社でも同じようなことが起こり得ます。
さらに商社は外部倉庫で保管することもあり、保管料も支払う必要が出てきます。
処分にも別途費用が発生する製品もあり、在庫だけ置いておくのも大変です。
この在庫リスクを小さくするには、保管期間を短くすることがあります。
商品の価格変動は、時間が経過することによって起きます。
つまり、なるべく保管を短くすれば、価格が下がる可能性が低くなるということになります。
④回収(信用)リスク
これは、売掛金が回収できないというリスクです。
海外との取引で、取引先から期日を過ぎても中々入金がないというケースがあります。
日本の会社間ではあまりないのですが、海外だとよくあります。
回収するまでが営業の仕事とも言われたりします。
このリスクを小さくするには、全て前受金と取引をするという方法があります。
前受金とは、先に代金を貰うまで、商品を渡さないということです。
もちろん、前受金での取引を承認してくれるかはまた別問題です。
支払う側からすると、なるべく遅く払いたいので、前受金(前渡金)というのは一番悪いパターンとなるのです。
補足:カントリーリスク
1点補足としてカントリーリスクを紹介します。
カントリーリスクとは、特定の国の政治経済の状況などの変化によって、ダメージを受けるリスクのことです。
例えば、中国では規制がコロコロ変わったりします。
しかも、その規制が来週から変わりますみたいに急であることもあります。
こういった変化によって商社のビジネスにも制限がかかることがあり、こういったリスクと商社は向き合っています。
対策としては、特定の国に投資などを集中しないことと言えるのでしょうが、あまり現実的ではないかもしれません。 (成長スピードも違えば、リターンも違うでしょうし)
最後に
もっと商社のリスクについて知りたい場合は、有報で事業等のリスクと検索してみることをオススメします。
会社毎のリスクの定義があって面白いです。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。