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【為替予約】為替予約の基本と一番楽な仕訳パターンを紹介

【為替予約】為替予約の基本と一番楽な仕訳パターンを紹介

【為替予約】為替予約の基本と一番楽な仕訳パターンを紹介

新人経理の方向けに、為替予約の基本と仕訳を紹介します。

YouTubeにも動画を上げていますので、ご興味のある方はこの記事の最後をご覧下さい。

YouTubeの台本として、ブログを利用するのも思考の整理になって非常にいいです。

今回は新人経理向け、経理実務を学ぶシリーズの14回目として為替予約を学びます。 

私もメーカー経理の時は、為替予約の仕組みを全く理解していませんでしたが、商社の経理になって初めて理解できました。

これをご覧になっている方の参考となれば幸いです。

結論:為替予約はリスクヘッジ、独立処理が楽

為替予約とは 

為替予約とは将来において、外貨を購入や売却する時に、一定のレートで交換ができるという権利のことです。

今回は輸出サイドで米ドルの為替予約から考えます。

自社が輸出するので、代金を外貨で貰うということになります。(逆の輸入サイドはこれの完全に逆となります)

為替予約は金融機関(三菱UFJ銀行や三井住友銀行など)にて、契約を締結することになります。

それがあるレートで、外貨を交換する権利です。

ちなみに、予約のコスト(手数料)は、為替予約のレートに織り込まれています。

つまり本来のレートよりも、銀行の手数料(マージン)が上乗せされているので、少し悪いレートになるということです。

なぜ為替予約をするのか

一言で言えば、リスクを軽減するためです。

ドルでの入金の例で考えてみます。

1,000ドルの売上があって、売上から3ヶ月後に入金があるとしましょう。

売上時の為替レートが1ドル105円とすると、円換算すると105,000円です。

 

3ヶ月後のレートが円安になっていれば得をして、円高になっていると損をします。

例えば、円安のケースでドル円が110円になっていたとすると、110,000円の入金となり、5,000円増えた計算となります。

円高のケースでドル円が95円になっていたとすると、95,000円となり10,000円損をしていることになります。

為替レートは常に変動しており、入金や支払までの時間が長ければ長いほど、外貨での売上や仕入れをすると為替リスクを受けると言えます。

 

為替予約でどうなる?

為替予約は交換するレートが、先に固定されるメリットがあります。

先程の例を使い、売上時のドル円は105円とします。

そこで、銀行に為替予約をお願いすると、1,000ドルを104円で交換する権利が貰えると仮定します。(1,000ドル全額ではなく、500ドルだけなど一部でも良い)

 

この為替予約があれば、入金時に円高となっていても安心というわけです。

仮に95円まで円高が進んでも、104円で交換できるので、1,000円の損だけで済むことになります。(この1,000円が銀行に払うマージンのようなイメージです)

ただし、円安に進んだ場合の利益は受け取る事ができません。

仮に110円まで円安が進んでも、104円で交換しないといけないのです。

当然ながら、円高円安どちらに進むかを100%当てることは無理です。(それが出来るなら会社員を辞めて、FXトレーダーになるべき)

 

つまり為替予約をすると、損もしない代わりに、得もしないということになります。

これでリスクの軽減になるわけです。

 

経理の実務

ここでは、経理の一番簡単な処理についてだけ解説します。(独立処理、ヘッジ会計に分かれますが今回は独立処理です)

為替予約の締結時には仕訳は不要です。

仕訳が必要なのは、月末(期末)の時価評価時です。

為替予約を締結した時の交換レートと、月末の交換レートには差があります。

その差によって、為替予約と為替差損益で仕訳を計上します。

益が出ているか、損が出ているかは、銀行からの資料やWEB上の画面で確認可能です。

その金額がマイナスになってれば、差損となります。

ここではその資料に△78,908円となっていたとすると、

借方:為替差損 78,908 / 貸方:為替予約(負債)78,908

となります。

80,000円の益なら下記になります。

借方:為替予約(資産)80,000 / 貸方: 為替差益 80,000

 

この時価評価は翌期の期首(翌月の月初)に反対仕訳を入れると、実際の入金時に為替差損益だけ計上すればキレイになります。

反対仕訳を入れないパターンなら、入金時に資産もしくは負債の為替予約の残高を取り崩すことになります。

 

ここからはただの感覚の話ですが、ヘッジ会計は正直意味がないと思っています。

これを正確に理解していないということもありますが、ヘッジ会計の意味を営業出身の社長などに伝えて、理解してもらう必要すらないと思います。(理解できない可能性が高い)

実務的に簡単なのは、上記の時価評価のみを月末(期末)にするだけのパターンです。

日商簿記1級などでは、この為替予約の振当処理のややこしい計算などもありますが、これが実務に役立つかは疑問です。(日商簿記が実務とリンクする必要性はないですが)

実務なら会社のやり方が決まっているので、どちらだからどうこうという時間もありません。

 

ものすごいざっくりですが、以上とさせて頂きます。

以下は動画の補足です。

動画では言及できませんでしたが、為替予約には消化期間的な、いつまでに使うという期間があります。

限度はありますが、延長することも可能です。

しかし、必ず消化するということは忘れてはいけません。

取引が発生してから予約を取るスタイルなら、問題はありませんが、先に為替予約だけ取って、消化できないことがないようにしましょう。

 


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ここまでお読みいただきありがとうございました。