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【有報】オリエンタルランド正社員ほかの賞与7割減のインパクトとは?

【有報】オリエンタルランド正社員と嘱託の賞与7割減のインパクトとは?

【有報】オリエンタルランド正社員と嘱託の賞与7割減のインパクトとは?

日経の記事を見て、有報から賞与の減でどれだけ利益にインパクトを与えるかを調べました。

Twitterを見ていると、とある日経の記事がニュースのトレンドになっていました。

そのニュースがこちらです。

www.nikkei.com

今回は、このニュースを見てどれだけの影響なのかを有価証券報告書(有報)を使って調べます。

賞与の7割減と聞くと、かなり大きいイメージです。

しかし、実際に調べてみないと感覚や印象だけで終わってしまいます。

結論:賞与減のインパクトの金額予想は18億円

ニュースの要約

まずは日経の記事を要約します。

  • 約4,000人いる社員と嘱託の冬の賞与を70%カットを決定
  • 一部の契約社員は配置転換、合意出来ないと退職
  • 社員の賞与削減は初
  • 既に代取は3割、取締役は2割、執行役員は1割削減している
  • 役員報酬もさらに削減
  • 1Qは最終利益が250億の赤字だった

つまり、コロナによる利益悪化に対応するために、社員の賞与カット、契約社員の見直し、役員報酬もカットするということです。

株式会社オリエンタルランドの1Q決算

早速オリエンタルランドのIRページに飛びました。

ちなみに財務諸表は今回初めて見ます。

IRページには、短信や有報の難易度が記載されており、非常に親切です。

短信・有報は難しい、決算説明会資料・ファクトブックは普通、株主通信は優しいなど。

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オリエンタルランド1

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オリエンタルランド2

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オリエンタルランド3

やっぱり短信や有報は、文字ばかりでしかもそれが会計用語なので、とっつきにくい部分はあるのかなと思います。

今回見たのは直近の有報と、1Qの短信です。

まずは1Qの決算から簡単に見てみます。(3月期決算なので、2020年4月~6月の成績)
 

連結の売上は62億円、前期が1,206億なのでなんと売上は95%の減少。

当期純利益は249億円の赤字です。(前期229億円の黒字)

ちなみに特別損失として休園にかかる費用として212億円を計上しています。(前期はその特損が92億円計上されている)

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オリエンタルランド短信

ここまで業績が悪化していたとは思いませんでした。

コロナで営業が出来なかったのが、かなり大きかったのでしょう。

 

業績悪化に伴い、役員報酬の減額も発表しています。

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役員報酬減額

やや珍しいと思えたのは、監査役も報酬を減額している点です。

監査役の頑張りは会社の利益にはほぼつながらないので、これも削減するのがすごいと感じました。(取締役だけなら、よくあるような気がします)

オリエンタルランドの賞与はどれくらい?

ここから有報を基にオリエンタルランドの賞与の金額について確認します。

まずは従業員の状況で、平均給与と人員を参考として見ます。

これがオリエンタルランド単体のデータです。

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従業員の状況

従業員は4,845名です。(20年3月末時点)

平均年間給与は709万で、平均年齢は約40歳、平均勤続年数は10.7年となっています。

外数としてカッコ書きされているのが、平均臨時雇用者数で平均すると14,635人で、3月末時点では20,754人いるようです。

臨時雇用者にはボーナスが出ないとすると、冬のボーナス支給は多くて4,800名程度となります。

 

そして販管費の賞与を確認します。

四半期決算や本決算の短信では、販管費の中身は開示されません。

記載されているとすれば、有報となります。(会社によっては記載がない場合もあり)

オリエンタルランドは売上原価明細書を開示していますので、ここで確認が出来ました。

左が前期(2019年3月期)で、右が当期(2020年3月期)です。

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売上原価明細書1

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売上原価明細書2

飲食店の人件費と、通常の人件費が分かれているので合算します。

前期が8,810百万、当期が7,124百万となります。

賞与は業績連動があるので、前期の方が利益が出ていたということでしょう。

連結ベースだと前期が903億円の最終利益で、当期が622億円となっています。

 

税効果の注記からも、賞与の夏(恐らく)に向けて積み立てている金額が確認可能です。

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オリエンタルランド税効果

これを見ると、恐らく19年の夏のボーナスが21億円×2で42億円、20年の夏が12.5億円×2で25億円となります。(賞与引当金を6ヶ月積み、かつ同額と考えると3月末時点で3ヶ月分積み立てているという計算となり、それを2倍したものが支給額) 

そこから推定すると2019年4月~2020年3月の賞与が71億円で、夏のボーナスが42億円となるので、冬のボーナスが29億円となります。

オリエンタルランドの夏ボーナスは業績連動しているらしいので、夏の方が多いのは納得です。

19年4月~20年3月のデータを使うと、平均給与は708万円で、賞与分が夏冬合計で約148万円となります。

 

では今回の冬のボーナスはどれくらいかと考えると、まず夏のボーナスが25億円と仮定します。

夏のボーナスはほぼ業績連動分がないでしょうから、満額支給の冬と同額と仮定できそうです。

つまり25億円が100%支給だった場合です。

これを7割カットするので、17.5億円の削減効果ということになります。(支給総額が7.5億円)

 

ちなみに4,800名の正社員として計算すると、一人あたりの冬の賞与は15.6万円となります。

夏支給分は52万円です。

7割と聞くと、イメージがつきにくいですが、実際に調べてみると17.5億という具体的な予想数字が出てスッキリしました。

 

最後に、一部ではオリエンタルランドヤバいみたいな声もあるようです。

しかし、直近の自己資本比率は80%を超えていることもあり、心配は不要だと思っています。

また現金が減っているという指摘もありますが、これだけ自己資本比率が高ければ、必要に応じて銀行から借入することも十分に可能でしょう。

どうしても感覚で語りたくなる気持ちも分かるのですが、一度冷静に数字を見てみることが大事だとつくづく感じます。

 


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ここまでお読みいただきありがとうございました。