経験だけを売りにする人は、実力が伴っていないこともあるという話です。
ふと、会社や社会人にとっての経験という言葉の意味について考えたくなったので、改めて言語化してみます。
ここで言う経験とは、主に社会人歴10年以上の人を指しています。
例えば、教師は社会人経験がないからダメだという主張のような意味ではありませんので、ご了承下さい。
結論:経験という言葉の意味を理解すべき
経験には3種類ある
社会人歴が一定以上の人の経験には3種類あると考えます。
①実力はないが、経験という言葉を使って自分を正当化したい人の経験
②実力はあって、自分の仕事を奪われたくないがゆえに、経験を大事にする
③本当の意味で経験がある
①は主に45歳以上の人が主張しがちなフレーズだと思っています。
本人は過去の経験があって、誇示したいけど、実態としては今なら何も役に立たないというものです。
これは関わらないしかありません。
②について今回は主に語ります。(③は素晴らしいことです)
前提として、会社という組織の中ではその人しか出来ない仕事はなくすべきです。
ただし、社長は除きます。
それでも社長は権限移譲をすべきではあります。
経験があるという人こそ、その経験は組織に還元すべきなのです。
逆に考えれば、組織に還元できない経験というものなら、会社は必要としないとまで言えるかもしれません。
しかし、還元した結果、自分の居場所がなくなるとか、待遇が悪くなるのであれば、その人は経験を還元しないでしょう。
これは組織の課題と言えます。
組織としては、社員の経験を共有し、社員全員のレベルを上げることで競争力が生まれると言えます。
しかし、個人レベルで考えると、自分の経験を開示したくないという社員もいるでしょう。
全体最適と部分最適という議論でも言えるでしょう。
これは転職活動でも起こり得る話だと思います。
転職時の面接なら、自分のやってきた経験をたくさん語って、アピールします。
結果、その企業に入社したら、自分の仕事を守るために自分の経験は開示せず、組織には還元しない。
そういった戦略を取る人もいるでしょう。
ではどうすべきか
まず、経験だけを売りにする人に注意するというのが1点です。
知識や経験はその人しか持っていないということは、ほぼあり得ません。
つまり、それは他の人に共有が出来るもののはずです。
経験ばかりを押し出してくる人は、それしかアピールポイントが無いなら、避けるべきでしょう。
そして、組織として仕事の見える化を進めることです。
そもそも、エース級の社員を作らない組織を目指すべきだと思います。
エースがいるから、落ちこぼれもいるのでしょう。
エースに何かあれば、それをカバー出来る人材は少ないでしょう。
実力が高い人に依存するから、安定から遠のき、会社のパフォーマンスにバラツキが出ます。
真の強い組織とは、個に依存をせず、仕組みで回していける組織です。
転職でのアピールにも注意
先程述べたように、転職時のアピールの仕方も注意が必要です。
自分はこれだけのことをやってきたというアピールだけではなく、それが組織にとってどうプラスだったのかを面接官は知りたいのではないでしょうか。
その知識と経験を、自社でも還元してほしいという期待を込めて、採用するのだと思います。
今はあらゆることが、インターネット上やSNSで発信されています。
表面的なことだけなら、手に入ることが多いでしょう。
実際の組織にどう活かしたかが大事だと思います。
スポーツとは違う
スポーツにおける経験の還元と社会人の経験には大きな差が2つあります。
スポーツ界では、お前の経験をチームに還元してくれなんてセリフがあります。
ベテラン選手のコンディションの整え方や、練習に取り組む姿勢を若手に見せるという目的もあり、経験を買うのです。
1つ目の違いは契約期間です。
スポーツの場合、選手との契約は短いと1年間ということもあります。
年を取った選手ほど、短期契約になっていきます。
社会人でクビになるケースはほとんどありません。
つまり契約期間の違いが、大きな違いと言えます。
もう一つの違いが、誰がプレイヤーかです。
スポーツなら状況に応じて、ベテラン選手は使わないシーンも多いでしょう。
本当に必要な時だけ、試合に出すことになります。
一方、社会人は誰もが主役であり、試合に出続けているのです。
当然ながら、中には仕事を少しサボって給与を貰うプレイヤーもいます。
しかし、全員が同じ目的(多くの場合、会社の利益の最大化)を目指すのです。
この2つの違いがあるので、スポーツとは違うと考えます。
経験は組織に還元してこそ、意味を持つのです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。