日本経済新聞の「味の素の残業なし奮戦記」が、面白かったので紹介します。
残業なし奮戦記は全5回の記事で、味の素の残業を減らす活動を紹介しています。
有料記事となりますので、有料会員でない場合は、月10本の制限があります。
この制限は5月にある記事を閲覧しても、6月にはもう一度制限がかかってしまう仕組みです。
5月に全5記事が公開されていたので、5月にまとめれば良かったなぁという独り言です。
これが第1回の記事になります。
ちなみに味の素の連結売上高は約1兆1,300億円、事業利益は926億円の巨大企業です。
①会議と移動は時間泥棒 味の素の本気
味の素社長の西井孝明氏が残業を減らすと決意したのは、2015年。
自分自身もモーレツ社員だったが、2013年のブラジル赴任で考えが変わる。
現地社員は残業をしないのが当たり前で、それでも成果を出している。
食品会社で世界トップ10入りを目指し、長時間労働からの脱却を目標に。
しかし、現場からは反発の声が上がる。
調査の結果、時間泥棒のワースト2は、移動と会議(資料作成含む)だった。
その対策として地方支店では、営業車でなく公共交通機関で客回りするように。
またみなし労働制を廃止し、フレックスタイム制を導入。
結果として
- 味の素の18年度末の社員1人当たり年間労働時間は1,820時間
- 15年度末の同1,976時間から約150時間短縮
- 社員の4分の3が午後6時前に帰宅
②アフター4で大学院 社員が手にした新世界
味の素の就業時間は午後4時半。
社長でも5時前退社を心掛け、週3日はジムに通っている。
スーパーフレックス勤務や在宅勤務、1時間単位で分割取得可能な有休制度など柔軟に働ける仕組みを導入するも、効果は薄かった。
生活の変化を実感できるくらい、大胆に就業時間を見直さなければ効果は薄いと判断し、就業時間を4時半に。
空いた時間で大学院に通う社員もいる。
③減らした書類はビル3棟分 ムダな仕事消える
味の素は、1日の所定労働時間を20分短縮して7時間15分に改定。
柔軟に働けるようにと「どこでもオフィス」という制度を導入。
在宅勤務制度の進化版で、週1回出社すれば、在宅でも外出先でもサテライトオフィスでもどこで働いても構わない。
「どこでもオフィス」は長時間労働是正の特効薬のはずだった。
しかし、紙が基本の仕事のやり方が、制度の利用を妨げていた。
この改善のきっかけが5S活動だ。
Sは「整理・清掃・整頓・清潔・躾(しつけ)」を意味する。
この考え方で中国やフィリピンで結果を残す。
日本でも紙を減らすために4つの分類を用意
- PDF化できる資料
- 外部の倉庫に預けて保管する資料
- 本社にどうしてもなければならない資料
- 実はいらない資料
今まで紙だったものが電子化され、組織の枠を超えて簡単に共有できるようになる。
④製造現場も在宅勤務 常識覆した工場長
工場にいなくたってラインは動く。
「どこでもオフィス」は本社だけの話で、工場では冷めた雰囲気がただよっていた。
そんな状況を変えたのが、当時の川崎工場長の辻田浩志氏だった。
大切なのは「フェアにやるぞ」とトップがはっきり示すことだ。
工場でも在宅勤務するために、膨大な作業の手順の標準化とマニュアル化を進めた。
在宅勤務を利用するのは工場勤務の4人に1人。
現場にいなければ気が済まない昔気質の社員も多いのも事実。
⑤早帰りの限界? 7時間労働撤回の真意
「1日の所定労働を7時間に短縮する目標は取り下げる」。
2019年春、味の素社長の西井孝明は、経営会議に決断を伝えた。
「無駄を省けばそれでよしではない。同じ1800時間でも、そのうち100時間くらいは、よりイノベーティブな、創造的な仕事に費やしてほしい」
「時間削減の意識は社内に定着した。それをベースに時間内の労働の質をいかに高めるかを今後は考える。時短に重点を置いたステージ1から、質を意識したステージ2への進化だ」
残業なしが目指すのは、世界と戦える生産性の高さだ。
残業をなくせ――そして、稼げ。味の素の奮戦は、これからも続く。
終わりに
少し駆け足になってしまいましたが、以上がまとめです。
非常に読み応えのある記事なので、是非本文も読んでみて下さい。
これを読んで思ったことが下記です。
- やはりトップが積極的に動かなければ成果は出ない
- 日本型の長時間労働には限界がある
- 変化を恐れてはいけない
10年後には、ここで取り上げられたことが常識になっているかもしれません。
本当にこれからの時代、どうなっていくのかが読めないよなぁと最近思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。