新卒で年収1,000万というパワーワードについての経理マンの雑感です。
回転寿司チェーン大手のくら寿司が「エグゼクティブ採用」として、新卒社員に年収1,000万を提示するようです。
今回はこの決定についての考えを書いてみます。
結論:動きとしては評価すべきだが、恐らく効果は薄そう
くら寿司のエグゼクティブ採用とは
まずはその中身についてくら寿司のHPから確認
要件としては下記
- 募集人員は10名
- 資格としてはTOEIC800点以上と簿記3級必須
- 求める人材像は多いが、海外勤務可能という部分が大きいか
- 年齢は26歳までの就業経験なしの人材
そして年収については、1年目が1,000万円なだけで、以降は実績に基づき決定するとのこと。
つまり理論上は、1年目が1,000万で2年目400万というのも普通にあり得るというように読めます。
くら寿司の給与水準について調べてみます。
直近の有報を見てみると、正社員数は1,252名で平均給与は約450万円となっている。
PL注記に給与手当の記載があり、年間で335億73百万円とあるので、正社員数で割ると平均の給与ベースでは268万円となる。
その他賞与などを足すと、450万円になるということだろう。
また平均勤続年数は6.3年となっている。
つまり2年目の給与は450万円に満たない可能性が高い。
ちなみに監査役は550万しか貰っていない?
評価できる点とそうでない点
この制度の評価できる点
- 1年目から1,000万を出すということで、優秀な学生が採用できる
- 2年目には年収を引き下げる可能性を作ることで、優秀でない人に1,000万出し続けるというリスクをなくしている
- 外食産業は総じて年収が低い中で、これだけ出すという勇気
- 新卒社員に好待遇を与えることで、優秀な社員にふさわしいステージを与えるという会社の方針が伝わる
評価できない点
- 2年目以降の年収がどうなるかが明示されていない
- 2年目の年収が本人希望と隔たりがあれば、人材の流出リスクがある
- 周りの社員の期待値が大きすぎたり、僻みもあり得る
- そもそも1年目からそんなに結果を残せるのか
個人的には、面白い取組だとは思います。
優秀な人には、それだけのリターンが与えられるべきだし、年功序列では成長は見込めません。
制度の運用については課題があるとは思いますが、こういう動きをすること自体は評価すべきだと思います。
現代の変化についていくための動きだとは考えられます。
もちろん、この取り組みが成功するかを判断するのは、3年後とかになるのでしょうが。
この採用予定の10人には、かなりのプレッシャーがかかるでしょう。
正直、2年目の年収が下がれば、周囲の目も気になるだろうし、会社には居づらいだろうと予想します。
当然ではありますが、それに打ち勝つ人材を採用できるかが鍵になりそうです。
この制度だけでは、中堅社員のモチベーションは下がると思います。
何で新人が1,000万も貰えるんだとしかならない気がします。
合わせて、完全な成果主義にするという人事制度改革があった方が、良かったのかもしれません。
くら寿司のこれからに注目したいですね。
私はくら寿司に行ったことがないのですが、大阪の企業だったことを初めて知りました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。