チュートリアル徳井氏の無申告問題に思うことを少しだけ語ります。
お笑い芸人のチュートリアルの徳井義実氏が、東京国税局から7年で1億3,800万円の申告漏れを指摘されました。
CM差し替え、活動自粛など様々な影響が出ていますが、今回はこの件について、国税局の視点から語ります。
結論:悪いことをすると、その分だけ損をするけど、国税局からすると嬉しい
そもそもの仕組み
徳井氏は会社を設立したものの、法人税を申告していなかったようです。
日本では、会社の法人税は納税者が自分で(顧問税理士がやるケースもありますが)計算して、申告して、実際に税金を納付します。
これが固定資産税になると、自治体(国)がそれぞれで納付額を計算して、固定資産の所有者にこれだけ払ってね~という案内が来る形です。
つまり、法人税は自分で計算した結果を納付する必要がありますが、固定資産税は言われた結果を支払うという違いがあります。
ステップとしてはまず申告のために計算します。
この時に、会計上では売上と費用と呼ばれるものを、税務上では益金と損金として考えます。
益金から損金を差し引いたものが所得となります。
ここで問題になるのは、損金(≒費用)の存在です。
普通の会計上では費用になるものが、税務で損金になるとは限らないのです。
今回、徳井氏のケースで言うと、プライベートの洋服代や旅行代も経費として計上されていたとのことです。
この洋服や旅行が、徳井氏の会社の売上につながるものであれば、経費(=損金)として認められますが、私用であれば、もちろん認められません。
こういうことは、中小企業のワンマン社長もやりがちなのかもしれません。
会社とは無関係なのに、会社の費用にして、自ら(個人)の利益とするということです。
もちろん、こういった不正を是正するのが国税局であり、税務署であるわけです。
なぜ国税局は嬉しいのか
ここからは、なぜ徳井氏のケースが国税局にとってはポジティブかを記載します。
結論から言うと、納税のルールを故意にせよ、気づかないにせよ破るとそれ以上のお金を支払うことになるからです。
例えば、本来の所得が100万円で、支払うべき税金は30万だとします。
ここで、所得を減らすために、私用の費用を90万計上して、所得を10万にしたとします。
こうすることで、支払うべき税金は所得を基準に計算されるため、3万円で済みます。
つまり支払うべき税金は27万円少なくなり、27万円分得をすることになります。
しかし、国税局や税務署の調査によって、これが不正であると認定された場合というのは、本来支払うべきである30万と支払った3万の差額の27万円だけを後から払えばいいわけではないのです。
もしも、後から本来支払うべき税金を払えばいいだけなら、積極的に不正を働こうという人が増えるでしょう。
なぜなら、失敗した時のリスクがないからです。
現実は、加算税と延滞税というペナルティがあります。
加算税というのが、支払いのプラスアルファ分を意味しています。
重加算税なら最大で40%増しとなります。
最初の例なら30万円×0.4=12万が上乗せとなります。
延滞税というのは、支払利息のイメージです。
本来の支払日に全額払っていないから、日にちの分だけ余計に貰いますという税金です。
加算税と比較すると金額は小さいことが多いですが、ペナルティとして負担させられます。
というように、不正をしようとするとペナルティのリスクがあるわけです。
今回の徳井氏のケースでは、無申告や私用の経費を費用としようとしていたということで、国税局としても、議論の余地もなく、仕事を進められたのではないでしょうか。
企業vs国税だと、どちらに取れるグレーなものを、企業側はこれは白ですと主張し、国税はこれは黒だという構図になります。
今回のケースは、明らかに黒なので、仕事も楽だったのではと思ってしまいます。
個人的には、マイナンバーという制度もあることだし、もう少し可視化できるのではと思います。
徳井氏は会社を設立して、こうなったわけで、同一には考えられないのでしょうが、まだまだ制度として改善の余地があるのかなぁと。
そして、当たり前ですが、不正はバレるので、きちんと納税はしましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。