結論に大きな目新しさはないですが、データや周辺知識が面白い本です。
コロナウイルスの影響もあり、休日は本を読むことが多くなり、またもや本紹介です。
本日、紹介するのは成功する人は偶然を味方にするです。
この本はタイトルの通り、成功には運の要素が強いということと、最後に大きな主張があります。
個人的には、その最後の主張の是非はよく分からないです。
しかし、そこに至るまでの様々な心理効果などの説明が面白いと感じました。
結論:才能と努力と運が成功には必要
成功する人は偶然を味方にする(ロバート・H・フランク)
本日の本は成功する人は偶然を味方にする(ロバート・H・フランク著、月沢歌子訳)です。
副題として運と成功の経済学となっています。
タイトルだけを読んで、まぁそれはそうだよねと思ったのですが、この本ではデータを用いてその説明をしています。
以下、本の独自要約です。
はじめに
成功はひとえに運のおかげ
第1章:わたしが知るかぎりのことを教えよう
偶然でいいこともあるし、悪いこともある(筆者の場合は、たまたま救急車が近くにいて助かった)
才能と努力と運が成功のファクター
住んでいる国と、その国の所得分布によって、収入は決まる
優れた能力も、機会が与えられなければ価値がない
「ひとり勝ち市場」が拡大しているので、偶然の出来事がより重要になる
消費が小さくなれば、基準も変わる
収穫逓減の法則:ある水準を超えると、質をさらに高めるコストが急上昇する(テストで50点を取るための努力と90点のための努力は、正比例しない)
第2章:なぜささいな偶然がきわめて重要なのか
後知恵バイアス(結果を知って、後から理由付けしてしまう)→めったに無いことほどその傾向
マタイ効果(好循環)
第3章:「ひとり勝ち市場」における運
情報革命によって起きた
①絶対的なパフォーマンスではなく、相対的なパフォーマンスが重要
②報酬が少数のトップに集中している
トマ・ピケティは、富は最も多くの資本を有するものに集中し続けると主張
第4章:一番成功する人は、一番有能な人ではない
データシュミレーションからも明らかだが、成功している人は運の要素が必要
競争というのは人が増えるほどハイレベルな争いであり、才能や努力は前提条件
第5章:努力と才能の誤解は、こうして広がる
人には心理的ショートカットキー、経験則に頼る傾向がある
自分は平均以上であると90%以上の人が思っているケースも存在する。(しかし、当たり前だが、それではおかしい)
失敗は不運であると考える人が多い
行動することのコストは即座に発生し分かりやすいが、便益は遅れてやってくるから想像するしかない(大学受験のための勉強が、良い会社に就職するためだとすると、便益が想像しにくいため、行動=勉強しない人が増える)
利用可能性ヒューリスティック:思い出しやすさと実際の使用頻度は別
人は向かい風(困難)は覚えているが、追い風(成功のための幸運)は忘れてしまう
第6章:「努力したから成功できた」の罪
公共投資の例
運の重要性を過小評価されると、納税がされにくくなる
運が大事だと考える人は、自分の成功に感謝し、その成果を分け与える傾向がある
第7章: 黄金のチャンスをつかめ
追加的な支出は、ある点を超えると、優位性を獲得するだけのものとなってしまう。(他者に対する見栄)
第8章:まわりに感謝する
だからこそ、累進消費税の概念が大事
ふろく①:才能・努力・運の関係のシュミレーション結果(第4章)
データであり、運が大事ということなので略
ふろく②:累進消費税についてのQ&A
政策の議論なので略
感想とアクションプラン
全部で200ページちょっとで、文字もやや大きいせいか、非常に読みやすかったです。
累進消費税については、今の所自分には関係ないかと思い是非については省略します。
成功者は自分の能力や才能・努力によって成功したと思い込む傾向があるというのは、面白い観点だと思いました。
失敗の科学もそうですが、なるほどと思える背景にはデータがあるということなのかもしれません。(もちろん、自分で調べているわけではないので、盲信はできませんが)
アクションプランとしては、自分が成功したと感じてもそこには運の要素があったと考えるようにしていきます。
そして周りへの感謝も忘れずにいようと思います。
累進消費税の部分を除けば、非常に面白い本だと思います。
まさか、運も成功のために大切という主張から、累進消費税の話になるとは思ってもいませんでした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。