IPOには縁がない経理マンが、IPOについての本を紹介します。
本屋さんで適当にザッピングしていたら、面白そうな本がありました。
パラパラめくると、見開きの左が図で、右が文章という分かりやすい構成だったので、購入して読みました。
今回は、この本を紹介します。
IPOというのは、Initial Public Offeringの略で、新規上場ということです。
結論:IPOという制度の理解の入口として優秀
IPOをやさしく解説! 上場準備ガイドブック(第3版)
今回紹介するのは、上記の本です。
著者はEY新日本監査法人です。
少し脱線します。
監査法人というのは、主に上場企業の財務諸表をチェックしてオッケーを出す公認会計士の集団です。
その監査法人の中で、規模が大きくいわゆるビッグ4と呼ばれるのが、下記で上場企業の担当数を参考につけます。
- EY新日本監査法人:880社
- 監査法人トーマツ(デロイトトーマツ):869社
- あずさ監査法人(KPMG):724社
- PwCあらた監査法人:133社
監査法人を変更するケース(例えば、新日本からトーマツにとか、あずさからPwCに)ということもたまにあるので、この数字は変動します。
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ちなみに、新日本監査法人は東芝と監査契約を結んでおり、不正が発覚したことにより、クライアント数も減少したようです。
その新日本監査法人が書いているのが、この本です。
ビッグ4の中でも、クライアント数はトップであり、こういった会計実務の本では新日本が一番分かりやすいと思います。
本の内容とまとめ
本の中身としては下記になります。
①IPOの全体像
②スケジュールと関係者
③事業計画
④資本政策
⑤IPOに関する税金
⑥経営管理体制
⑦業務管理体制
⑧関連当事者
⑨審査書類とディスクロージャー
⑩証券会社と証券取引所の審査
正直、IPOに関しては、ほとんど知識がなかったので、どの章も勉強になりました。
以下に特に、なるほどと思った部分を書きます。
IPOのスケジュールとしては、直前々期(N-2)、直前期(N-1)、申請期がある。(監査法人による監査が必要)
証券取引所の審査だけではなく、主幹事証券会社による審査もある。
内部統制も当然、重要。
未払い残業代の論点があったのは、意外。
事業計画の部分の分析は、ちょっと微妙かもしれません。
監査法人は分析のプロかもしれませんが、新規事業の立ち上げみたいな部分は得意ではないのかなという印象です。
本としては、監査法人らしい切り口が多いなという感じです。
正直、投資対象としてのIPOは知っていたものの、スケジュールや作成書類についての解説があって勉強になりました。
ちなみに私は、IPO投資で申込みはしたことがありますが、実際に当選したことは一度もありません。
IPOの準備ということで分かりやすさに重点を置いているので、少し物足りなさを感じる方もいるかもしれません。
個人的には、マザーズとJASDAQスタンダード・グロースの違いがよく分かりません。(説明が分かりにくいということではなく、仕組み上どうなんだろうと思ったり)
本屋で立ち読みをするのも、こういう形での出会いがあるので、いいよなぁと思う今日この頃です。
※断捨離するので追記します。
簡便的な株価の算出方法
一株当たり当期純利益×類似業種のPER×IPOディスカウント(0.7~0.8倍)=上場時の株価
サービス:46倍
情報通信:94倍
小売業:28倍
不動産:14倍
卸売業:18倍
建設:14倍
その他製品:12倍
化学:15倍
機械:18倍
電気機器:24倍
ここまでお読みいただきありがとうございました。