メーカー経理として働いていた頃、銀行から経理部長を迎え入れたパターンがあり、それがどうかという話です。
最近、話題なのが半沢直樹シリーズです。
私は、ドラマは見ていないのですが、本で4冊読みました。
非常に面白い作品で、あっという間に読み終えてしまいました。
池井戸潤氏の本について書いた記事はこちら。
www.finance-accounting-value.com
本日はそんな半沢直樹にも出てくる、銀行出身の方が経理のトップに来たらどうなるかという話をしていきます。
結論:銀行出身の経理部長は、銀行との関係継続には役に立つ
半沢直樹のパターン
今回、紹介するのは、原作の本で言えば、「オレたち花のバブル組」です。
ドラマだと、2013年に放送された方となります。
そして、このブログにおけるテーマで言えば、主人公は近藤直弼です。(ドラマでは滝藤賢一氏が演じています)
近藤直弼は銀行から出向という形で、取引先のメーカーの経理部長に就任します。
出向というのは、所属元の銀行が本籍という形です。
出向が解除されると、銀行に戻ることになります。
これと似ているようで、大きく違うのが転籍です。
転籍は銀行の籍ではなく、その新しい会社に入社することと同義です。
つまり銀行を辞めて、転職するということです。
転籍すれば、銀行に戻ることは基本的に出来ません。
ドラマや本では、出向先のタミヤ電機で、煙たがられながらも奮闘するというストーリーです。
出向先の不正を追求するという普通なら考えにくい流れが、非常に興味をそそる内容でした。
結果、様々な活躍を経て、出向解除となり銀行に戻ります。
今回の話(転籍)
今回はメーカー経理として働いていた私が、銀行出身の人が部長になってどうだったかを語ります。
つまり、銀行を辞めて、メーカーの経理部長になった人がどうだったかということです。
私が経理マンとして働いていて、銀行出身の人が部長になるケースは結構多かったです。(部長なので、50歳以上の人が多かった印象です)
これには銀行の特殊なシステムが影響しています。
銀行では本体に残れる50歳以上というのは、偉い人しかいません。
その他の優秀ではない人は、タミヤ電機のような取引先に出向や転籍していくのです。
取引先にとってのメリットは、銀行との関係の維持(改善)です。
特にメーカーであれば、資金需要が一定以上あります。
例えば、工場を新しく作ると決めれば、かなり多くの資金が必要です。
そんな時に頼りになるのが銀行の借入ということです。
そこに借入をしたい銀行出身の人が、経理部長をやっているから交渉がスムーズになるというわけです。(強力なパイプがある)
ただし、このような流れは減少していくのではと思います。
銀行ってこんなに人が必要なのかという、銀行の人員の減少です。
ニュースなどでもメガバンクが、一部の業務の人員を削減するということが報道されています。
実際にどうだった?
私がそのようなケースは、自分が直接関わっていないのも含めれば、複数回見聞きしています。
率直な只のプレイヤーとしてみれば、それほど歓迎すべきことだとは思いません。
なぜなら、メーカーの経理に、銀行の人が来るので基本的に知らないことが多いからです。
銀行の人は色んな会社の財務諸表を見て、融資金額等を決定しています。
上場していない会社であれば、その会社の財務諸表を見せてほしいと依頼して、その数値をシステム的なものに打ち込むそうです。(意外と知りたがるのは従業員数です)
そのシステムがその会社の財務安定性や成長性を判断して、例えばAクラスとかCクラスというように格付けをしていくわけです。
それが融資金額の枠を決めるということです。
つまり、分析能力はある(ただしシステムで判断している)が、計画を作って実行する能力があるとは言えないということです。
私が一番嫌いなのは、分析だけしかしない評論家です。
評論家は、人やモノを動かす力がないのです。
銀行出身の人が、必ずその能力がないと言いたいわけではありません。
しかし、その実行能力に於いて、期待値は低い状態からのスタートとなるでしょう。
さらに、銀行出身なので、メーカーの経理実務についてもほぼ理解はしていません。
あくまでも完成した財務諸表しか見たことがないわけです。
かつ、メーカーの抱える問題(本社 vs 工場)についても表面的な部分しか知らないわけです。
そんな人がいきなり部長になっても、経理実務をしているプレイヤーとしてはナンノコッチャという話なのです。
それなら経理実務や内情を知っている、叩き上げのプロパーの人の方がいいでしょということです。
メリットは銀行との関係
しかし、会社としては銀行との関係を良くする方が優先度は高いのです。
プレイヤーの文句というのは、優先度が低いです。(何ならほっとけという感じ)
借入だとか、振込手数料を安くしてくれることの方が、いいインパクトがあるということです。
プレイヤーなら会社の決定に文句を言えるような立場ではない、ということでしょう。
しかし、銀行出身の方も、在籍が保証されているわけではないのです。
1年ちょっとで、なぜか退職というケースもありました。
簡単に首を切られる様を見ると、何とも言えない気持ちになりました。(もちろん自分から辞めるケースもあるでしょうが)
それが銀行マンの生きる道なのかもしれません。
銀行出身あるある
最後に少しだけ銀行出身にありがちな特徴を書きます。
①飲み会が好きである
銀行は飲み会文化があるようで、お酒が好きな人が多いです。
それだけならまだいいのですが、大抵は上下関係もセットでついてきます。
上座下座から始まって、上司のグラスの量はちゃんと見とけとか、次の日の朝はちゃんんと挨拶しろなど、控えめに言ってゴミです。
しかも、会費が必要という、正に時間とお金の無駄です。(お金は役職によって差をつける階段方式)
以前、若いからという理由で、幹事までやることになって、なんだかなぁという思いでした。(幹事のいいところは、クレカで払えばポイントが貰えるぐらい)
②人脈を語りがち
銀行とは、様々な人との繋がりがあります。
この人と繋がっているということが、銀行マンの誇りでもあるのでしょう。
自分はこうであるという人脈自慢は、周りにどう聞こえるかは考えておくべきでしょう。
聞いてもいない自慢話ほど、嫌われるものはないかと思います。
しかも、メーカーで働いていると、そういう外の世界がどうでも良くなりがちです。
あくまでも内部で完結してしまう傾向があるのかもしれません。
終わりに
以上が、リアル半沢直樹のメーカーの経理部長に、銀行からやってきた人がなったらどうなるかという話でした。
もちろん、いきなり経理部長になるような方は、銀行で支店長クラスというポジションまで出世したような人なので、間違いなく能力はあると思います。
その能力がメーカーなどで生きるかは別問題だと思いますが。
改めて、この記事を書きながら、半沢直樹の小説って面白かったなぁと思い出してしまいました。
ドラマだけでなく、小説もオススメです!
動画版はこちら
ここまでお読みいただきありがとうございました。