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【日経マジック】なぜ日経は業績を会社公表前に予想が出来るのか、経理マンが解説

【日経マジック】なぜ日経は業績予想を会社公表前に予想が出来るのか、経理マンが解説

【日経マジック】なぜ日経は業績予想を会社公表前に予想が出来るのか、経理マンが解説

日経だけが知り得る重要情報と、なぜかその報道通りの事実が公表される理由とは?

本日は、 日経新聞が会社の公表前に、なぜ重要な事実を知っているのかという話をします。(日経マジックと勝手に呼んでいます)

過去の記事のレオパレスが債務超過?という話題でも少し触れました。(しかし、レオパレスは日経のニュースよりひどいという結果でしたが) 

www.finance-accounting-value.com

この記事で日経の謎の理由を知って下さい。

結論:意外と大事なのは取締役会の日程、会社にもメリットがあるから教える

日経新聞の報道の種類は2パターン

主に日経の上場会社に関する報道には、2種類あると考えられます。

それは業績についての報道と、M&Aなどの報道です。

業績のパターンとは、「レオパレスの今期決算は100億円の赤字で、120億円の債務超過になる模様」というものです。(例ですので悪しからず)

M&Aの報道としては、「ヤマダ電機とニトリが合併するらしい 」みたいなニュースのことです。

いづれも会社の公表より前に、具体的な数値などを記載して、まるで事実を見て書いているような文章となっていることが多いです。

 

当たることもあれば外れることもある

当たり前のようですが、報道内容が当たっている場合と外れている場合、どちらもあります。

会社側としては、以下の反応が考えられます。

①この記事は当社が発表したわけじゃないよパターン

本日、日本経済新聞等において、当社の〇〇等に関する報道がなされておりますが、これは当社が発表したものではございません。

なお、当社の〇〇については、開示すべき事項が発生した場合は速やかに開示いたします。(現時点で決定した事実はありませんなどが付く場合あり)

例として日本郵政のパターンを添付します。

f:id:ttt0330:20201004160134p:plain

報道1

このパターンは暗に正解と言っているような場合もあり、決算の数値などは新聞報道と同じような数値が実際に会社から発表されることも多々あります。

 

②全然違いますパターン

会社側が完全に否定するパターンもあります。

これは所謂日経の飛ばし記事と呼ばれます。

つまり、単なる噂などの憶測に基づいたことを記事にして、会社に否定されるということです。

 

大事なのは取締役会の決定

さて、会社のリリースなどでも出てきますが、会社の重要な決定には取締役会での承認が必要です。

例えば、決算を発表するのは決算短信という資料を使います。

これも取締役会で承認された後、発表されます。

これについては過去の記事も参考になるかと思います。

www.finance-accounting-value.com

決算短信もそうですが、当日に発表するだけで、取締役会は承認を前提としている場合も多いです。 

つまり資料や合意などは事前に出来ていて、後は発表するだけの状態にしておくイメージです。

 

さて、下記のリリースを見ると、何か気づくことはないでしょうか。

f:id:ttt0330:20201004160123p:plain

報道2

それは取締役会の当日の朝などに、日経などの新聞報道が出ているという点です。

これはただの偶然でしょうか、恐らく違います。

つまり、日経は会社の確実な情報を得た上でニュースにしている場合もあるということです。

取締役会(要は会議)を開催する日というのは、会社によっていつ開催かが異なり、外部から確認する方法はほぼありません。

ただし、短信の場合は別で、決算発表予定日が先に決まっているので、その日に取締役会を開催することになります。

しかし、短信以外の例えばM&Aの案件は、通常の取締役会の日ではない日に開催して決定することもあり得ます。(通常は、取締役会は月に1回の開催)

場合によっては、土日などの休日に取締役会を開催することさえあります。

そんな日程を記者が勝手に想像して、的中させるのは無理でしょう。

 

経理マンの予想

ここからはあくまでも予想です。

私も上場会社で経理として働いていましたが、平社員には日経新聞の記者の知り合いなんて出来ません。

ただし、新聞社から電話がかかってくるのを聴いたことはありました。

偉い人(例えば部長など)と日経の記者が繋がっているのです。

そこで「今期の決算これぐらいですかねぇ?」というやり取りが行われているのでしょう。

または会社側から、「これ記事にしてほしいんだけどなぁ?」というのもあるでしょう。

 

そうやって日経の記者は、決算発表やM&Aの発表前に何らかの情報を得ているということです。

もちろん、そうでないケースがあるので、とんでもない飛ばし記事も出てくるわけです。

 

日経に教えるメリットとは?

ここまでで日経新聞の業績などの予想が当たるマジックについては、理解して頂けたかと思います。

しかし、なぜ会社はそれを日経に教える必要があるのかという話です。

大きな理由は、報道が自社の宣伝につながるからです。

上場会社は約3,800社ありますが、ニュースになりやすい会社は決まっています。

例えば、トヨタ自動車、ユニクロ、ソフトバンクなどなど上場会社の中でも大きい会社が報道の対象になりやすいです。

従って、全ての会社が平等に報道してもらえるわけではないのです。

そんな中、決算情報であれば、どうせ半日後には正しい情報が世に出るわけですから、特に失うものはありません。

ネガティブな決算(赤字など)であったとしても、いづれは分かることです。

特に上場企業の中の中堅と呼ばれる会社ほど、日経に報道してもらえれば会社の認知度が向上することでしょう。

 

ただこれが管理者である東証の望んでいることかというと、また別の議論にはなりそうです。

事前に情報を流して、市場をコントロールしようという意図が働いているとも考えられるので、いづれはこの慣習もなくなっていくのかもしれません。

 

これとは別に、とある会社に国税の調査があって、いくら追徴課税(要は罰金)が1億なんてニュースもたまにあります。

これは、会社としては隠したい情報ですから、新聞記者と示し合わせてなんてことはないでしょう。

もちろん記者から訊かれても答えないでしょう。

もしかしたら国税庁が見せしめとして、情報を新聞社に流していたりして?

そんなことはないでしょうが、これは漏れることが不思議なリークです。(しかもその罰金的な金額も正確だったりする)

 

今回のまとめ

本日のまとめは下記となります。

  • 日経の会社公表前にリークするタイプは2種類
  • 飛ばしもあるが、正確なものもある
  • 大事なのは、取締役会で重要事項が決定されるということ
  • 正確なものは、新聞社が会社から直接情報を得ている
  • 会社としてのメリットは、日経に取り上げられることで認知度の向上である
  • しかし、本来の意味からすると、この仕組はなくなるかも

 

調べてみると、こんな記事もありました。

ascii.jp

 


社会人1年目からの とりあえず日経新聞が読める本 「やるじゃん。」ブックス

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。