決算発表延期の理由は、経理が少ないからという驚きのニュースを調べます。
本日はなんと2回目の決算発表の延期となってしまったレオパレス21について語ります。
この決算発表の経緯や、どんな原因なのか、そして海外子会社がある経理の連結の辛さについて書きます。
コロナがきっかけになった決算の延期、2度目の延期理由は驚きしかなかったです。
しかし、経理マンとしてはレオパレスの経理に同情という気持ちが強いです。
記事の最後にYouTube動画もあります。
結論:決算は大変、経理の重要性に組織が気づいていなかったかも
経緯①元々は8月7日に開示予定を、9月11日に延期
株式会社レオパレス21は3月決算の会社です。
第1四半期の決算発表の予定日は8月7日としていました。
これは3月決算の会社のスケジュールとしては普通です。(少なくとも早くはない)
このスケジュールを9月11日に延期すると、7月30日の取締役会で決定という発表がありました。
この延期理由としては、コロナによって、監査手続きが遅れているとしていました。
具体的には、従来6月30日までに3月決算の本決算の株主総会や有報の提出をするが、それが7月22日にずれ込んだこと。
そしてはコロナの影響で、安全に配慮した上で、監査や決算を進めているからとしています。
この理由には普通に納得です。
本決算の遅れ(20日以上の遅れ)から、第1四半期の決算も遅れるということです。
経緯②9月11日発表予定を9月末日までに再延期
そして、9月9日の取締役会で9月11日発表が無理で、9月末までに開示予定を決定と発表しました。
この理由としては、依然としてコロナの影響があることに加え、希望退職募集で決算に従事する社員が想定以上に退職したことを挙げています。
これが今回の決算発表が遅れるという話です。
元々、延期していたものが、さらに遅れてしまうという事態の根源は、早期退職の募集としたのです。
レオパレスの希望退職募集の概要
その原因となった希望退職募集は下記の通りです。
35歳以上の社員で希望退職募集を1,000人するというものでした。
1,000人の予定に対し、1,067名だったことから、これが多すぎるわけではないでしょう。
そして退職日が8月末になっているのがポイントかもしれません。(一度延期した発表の日程は9月11日)
平たく言えば、この1,067名の中に経理担当者が予想以上に多かったということでしょう。
通常の希望退職募集なら、あまりにもそのバランスが悪ければ、会社側が希望退職を承諾しないという選択肢もあるようです。
つまり、レオパレスとしてはこれで決算乗り切れると上層部は考えていたが、実務は回らなくて決算発表を再度延期することになってしまったということです。
経理のトップは営業出身
レオパレス21のIR資料を見ていると、7月1日付けで部長職の異動があったようです。
財務経理部長だった桃原氏が国際事業部で異動し、法人営業部部長だった尾池氏が財務経理部長に異動しています。
尾池氏が営業しかやってこなかったかは、資料からは読み取れません。
しかし、もしも営業畑の人が経理部長になったと考えると怖いです。
もちろん、部長が実務をやるわけではないので、高度な経理知識が必要とは言いません。
それでも、営業しか知らない人が経理の部長になるのは、自分だったら少し不安になります。(比較的よくある話かもしれませんが)
さらにコロナの影響下、希望退職募集という会社が激変するフェーズで営業出身の人に財務経理部長を任せるのは、少し酷に思えます。
下記の異動情報で見る限り、バリバリの経理畑ではなさそうです。
レオパレスの決算はどれくらい大変?
決算がどれだけ大変かを知るために、レオパレス21の直近の有報を確認してみました。
連結子会社数は24社あり、持分法適用会社関連会社4社となっています。
上場会社の平均の連結子会社数は20というデータが、2015年にあるようです。
そう見ると、レオパレスの24社というのは平均よりも少し多い程度です。
ソニーは1,240社!という経理担当なら、気が狂いそうな数値が出ています。
ここで注目したいのは海外の連結子会社です。
レオパレスは海外にも現地法人をたくさん所有しています。
- 中国
- ベトナム
- タイ
- カンボジア
- フィリピン
- インドネシア
- シンガポールなど
海外子会社があると、連結(合算)が非常に面倒です。
私もかつて、経理担当として海外の会社を連結決算したことがあるので、その苦労はよくわかります。
海外の子会社を連結する際によくあるのが、現地スタッフの間違いです。
当然ながら、仕事に対しての取り組みの温度差もあります。
日本にいると、これは開示データだから間違えがあってはいけないという緊張感さえあります。
現地のプロパースタッフもそれなりの使命感はあるのでしょうが、少し見れば分かるような大きな間違いがポロポロ見つかることもあります。
それが見つかる度に連結データの修正となれば、その大変さも並大抵ではありません。
希望退職でキーとなる人が退職してしまった?
そんな大変さもある中で、決算発表を再度延期することになってしまったレオパレス21。
私の最初の感想は、経理も大変なんだよです。
レオパレスの経理担当者に同情したい気持ちです。
ここから完全に推測です。
恐らく希望退職で、決算のキーとなっていた人が退職してしまったのではないかなと思います。
多くの会社で、決算ではその人がいないとヤバいみたいな人がいます。
その人が辞めるとなれば、他の経理担当者も「じゃあ私も」となってしまったのではと勝手に邪推します。
キーとなる人は、プレイヤーで課長やマネージャーといった管理職ポジションではないことも多く、辞めることを引き止めにくいという側面もあるかもしれません。
そういったエース的なポジションの仕事ほど、知識を部員に共有しなければならないのでしょうが、何しろ忙しくてそれが出来ない。(いわゆる木こりのジレンマみたいなものかも)
木こりのジレンマとは、斧研いだ方がいいんじゃない?と言われて、木こりがそんな時間がなくて返すという話です。
抽象化すると、目の前の仕事や作業をこなすのに精一杯で、それを効率良く進めるように創意工夫する時間や余裕がないという話です。(本当は斧は研ぎたいけど、時間がないというジレンマ)
そしてその社員の重要性を、組織が理解していなかった可能性が高いです。
さらに言えば、経理の重要性も理解してなかったと思われても、文句が言えない気がします。
経理は決算が出来て当たり前だからこそ、軽視してしまう部分もあるのかもしれません。
無事に9月末までに開示出来ることを心からお祈り申し上げます。
動画版はこちら
ここまでお読みいただきありがとうございました。