経理担当辞めたらヤバい説は嘘であると、経理マンが主張します。
本日は、以前のレオパレスの経理辞めすぎて決算が出来ない?(そうじゃない)という記事を書いている際にも、思ったことを記事にします。
www.finance-accounting-value.com
それは経理は会社の数字を知っているから、経理が辞めたらその会社は危ない会社であるという主張です。
初めに申し上げると、私はこれはそうではないのでは?と思って書きます。
日刊SPAの記事でも、こんなものがありました。
Q1 見抜けた倒産・リストラの予兆<社員編>300人中(複数回答可)
①優秀な人が辞めていった:142人
②経費の圧縮を厳命された:95人
③社内で不平不満、悪口が横行:85人
④「予算を削れ」など後ろ向きな議題の会議が増えた:66人
⑤上司が常にイライラしていた:60人
⑥経理担当者が退社した:55人
⑥「売り上げろ」が合言葉になった:55人
⑧会議が増えた:35人
⑨社員同士の懇親会の廃止:32人
⑩社畜社員が幅を利かせだした:26人
確かに、ここにも経理担当者が退社したが6位にランクインしています。
ただし、これも後付で理由を探しているのではないか?と思ってしまいます。(倒産して後から見たらこうだった、でも後付に意味はない)
経理マンの考える、経理担当者が辞めた会社はヤバいのかです。
是非、最後までご覧下さい。
結論:経理担当が辞めただけでヤバいのは、感覚だけの発想
理由①経理は少ないから辞めると目立つ
営業の人と比較すると、経理の人数は少ないです。
管理部門は、全従業員の最低5%は必要なんて言葉も見かけました。
確かに100名くらいの会社なら5名~10名くらいは管理部門に人員が必要かと思われます。
そうなると、経理が辞めるとなれば、人数が少ない分だけ目立ったしまうことが考えられます。
しかし、辞める理由ももちろん様々で、会社の業績がヤバいからという理由もあれば、他の会社の方が魅力的だからなんて理由もあるでしょう。
珍しいという部分が先行して、会社の業績と結びつけてしまうのかもしれません。
つまり、経理の退職は滅多に起きないことだから、何か起きているに違いないと考えてしまうということです。
理由②同じ経理部内でも情報格差がある
当たり前の話ですが、同じ経理部だとしてもアクセス出来る情報に差があります。
部長だったり一定以上のポジションであれば、会社の危険信号とも常に向き合っているでしょうが、末端の経理部員には伝わらない情報もあります。
そう考えると、一口に経理と言っても、全てを知っているとは限らないということです。
これは会社の規模が大きくなればなるほど、この傾向が強くなるでしょう。
例えば、上場会社の大企業であれば、単体決算チームと連結決算チームが分かれていたり、税務チームがあったり、財務チームがあることもあります。
当然、単体チームなら連結の数値は決算発表まで分からないはずなので、情報は平等ではありません。
しかし、社内の別の人から見れば、同じ「経理の人」です。
経理部内でも情報格差があるというのは、意外と見逃しているポイントではないでしょうか。
理由③普通の退職とどう違うかが分からない
そして一番強調したいポイントで、退職理由は、ほとんど知らないという理由です。
最初の経理は少ないという部分でも少し触れています。
私は3回も会社を辞めていますが、私の退職理由は以前の会社の社員の方にほとんど知られていないはずです。
人事などにも「誰々が嫌だったとか」本当のことは言わないですし、人事に言ったとしてもその人事は誰かに話すようなことはしないでしょう。
仮に経理の一人が会社の業績がヤバいと思って辞めるとして、それを人事に言うならその人事も辞めるのでしょうか?
結局その経理もヤバいという予想で、会社を辞めているに過ぎません。
経理もただの人間で、予想も外れることもあります。
何でも予想が当たるなら、その会社では働いてはいないでしょう。
退職理由は当の本人から聞いていないのなら、会社がヤバいと安直に考えるのは危険でしょう。
それが自分の働く会社ではなく、外部の会社なら尚更見えていない部分だらけです。
レオパレスという会社を外から見て、経理がたくさん辞めているからヤバいというのは正に感覚だけで判断しているとしか思えません。
もちろん、感覚からスタートすることは重要なことで、そこから数字などの定量的なデータを追って、結論を出すと人に騙されることも減るでしょう。
例外:経理の偉い人だったらヤバい?
1点だけ例外として経理の偉い人なら、少し意味は違うという話をします。
例えば、経理部長が突然辞めるとなったら、「あれ、この会社大丈夫かな?」と感じることもあるでしょう。
しかし、それだけで会社が財務的にヤバいと即結論は出さないでしょう。
逆に、営業部長が辞めるなら、どう考えるでしょうか。
私でも、何かあったのかな?とは考えるはずです。
つまり、経理の偉い人に限らず、どこかの部署の偉い人が辞めることは、一定の驚きがあるはずということです。
しかも、これからは転職者がどんどん増えていく時代です。
転職することが一種の当たり前になるのです。
そういった環境なら、人材が怒涛の動きを見せるはずです。
外資系の会社で経理がどんどん辞めたからと言って、その会社の業績はヤバいと結論付けることが出来るでしょうか?
恐らく答えはNoでしょう。
もちろん離職率という指標などを全否定したいわけではなく、会社がヤバいということの判断に経理が辞めることは適さないのでは?という私の主張です。
補足:最悪の状況とは?
1点だけ補足として、会社における最悪の状況は何かという話をします。
最悪の状況を避けるということが、従業員の立場なら最重要でしょう。
それは給与が支払われないということです。
せっかく1ヶ月間時間を会社に捧げて、それで対価が貰えないのは地獄でしょう。
給与が止まるとか遅れるというのは、会社の赤信号です。
経営者としても取引先への支払いは遅れても、給与は死守しなければならないポイントです。
最悪の状況を避けるには、常に選択肢を考えておくことでしょう。
自分の会社が潰れたらどうするか?を日頃から考えていれば、ピンチをチャンスに変えることが出来るのではと思います。
野球で例えるなら、ピッチャーが出塁して、盗塁はないだろうと相手が警戒しない時こそ、最大の盗塁のチャンスなのです。
まとめ
本日は経理担当者が辞めたらヤバいは嘘というテーマで語りました。
まとめると
理由①経理は少ないので、辞めると目立つ
理由②同じ経理でも情報格差はある
理由③普通の退職とどう違うのか普通は分からない
例外:偉い人が辞めるなら少し意味は違うが、それは経理でなくても同じ
補足:最悪の状況は給与が止まるまたは遅れる
最後に最悪の状況を考えながら動くと、違った視点が見えるのでは?という話をしました。
皆さんは、どう思われたでしょうか。
少しでも参考となれば幸いです。
ふと思ったのは退職するという人は、元いた会社がこれからめっちゃすごく成長するだろうとは考えたくないマインドがあるなと思いました。
自分が辞めたのは正しい選択だったと、正当化したいのが人間でしょう。
そう考えると、辞めた人は在籍していた会社を過小評価してしまう傾向があるのかもしれません。
動画版はこちら
ここまでお読みいただきありがとうございました。