最近、増えているホールディングスという会社、どんな特徴を持っているか説明できますか?
本日は~HDなんて表記される、ホールディングスって何のことかを経理マンが紹介します。
持株会社とだけ言われても、理解は出来ません。
経理マンの視点からホールディングスを説明します。
是非、最後まで見てホールディングスとは何かをバッチリ理解しましょう。
結論:ホールディングスとは子会社に営業を任せるということ
ホールディングスとは?
ホールディングスというのは、持株会社です。
こう言われても何のことやらと思いますが、意味は意外とシンプルで、営業用の子会社を持っている会社という理解で大丈夫です。
親会社は何をするのかというと、経理や人事などの管理部門しかなく、子会社の管理をするのが仕事です。
売上を作る営業活動は、傘下の子会社が担当します。
例えば、Zホールディングス(傘下にYahoo!)や、阪急阪神ホールディングスなどもあります。
ホールディングス(ホールディング)は、Holdingsなので、HDというように略されます。
過去の記事でも紹介したようにカンダHDや、コカ・コーラボトラーズジャパンHDなどのように使います。
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ホールディングス会社はどれくらいある?
上場会社は約3,800社あり、ホールディングス(ホールディング)と名前が付いているのは、約420社あるようです。
ホールディングス会社は必ず子会社があると考えられるので、連結決算をしています。
上場会社の連結決算をしている会社は約3,300社あるので、連結会社の13%がホールディングスという形態を取っていると言えそうです。
全体ベースで見ても、10%以上を占めているので、意外と多いということが分かります。
これからもホールディングスへ移行する会社が、増える流れがあると考えられます。
ホールディングスのメリットとデメリット
ホールディングスの大きな特徴は、子会社に営業活動を任せるということになります。
他にはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
簡単に紹介します。
メリット
- 意思決定が早くなる
- 事業の専門性が高まる
- 責任のあるポストが与えやすい
順に紹介します。
よく言われるのが意思決定速度の向上です。
これは親会社・子会社どちらにも言えることで、それぞれに役割と権限を与えることでスピーディーに意思決定がされます。
ただし、子会社はあくまでも親会社の決定が全てという点だけ注意が必要です。
次に、ホールディングス化によって、今まで一つの会社の中で行っていた事業を会社として分けることになります。
このことによって、事業の専門性が高まります。
例えば、阪急阪神ホールディングスは運輸・旅行・ホテル・不動産などの分野に分かれています。
その中で動くということなので、グループの中でホテルに詳しいスペシャリストが集まって、その個性が発揮できるということです。
最後に、子会社が複数出来ることになるので、社長などのポストが新設されます。
もちろん、以前の会社の営業部長のポストがなくなって、会社が新設されるので、劇的にポストそのものが急増するわけではありません。
しかし、子会社でも社長を経験出来るというのは、めったにない機会と言えるでしょう。
デメリット
- 子会社同士の対立
- 経理処理の複雑化
まず考えられるデメリットは、子会社同士の対立です。
元々は同じ会社で、~営業部が違うだけだったのに、別々の会社になると、要らない対立が生まれてしまいます。
大抵は売上や利益などで、子会社間での序列が出来てしまうのが一因です。
つまり対立構造としては、序列が低いと思われている会社が、「あいつらには負けないぞ」と他のグループ会社を敵視してしまうということです。
また、会社が違うということもあり、とある会社で試した試みが生産性が向上したなどのいいものであっても、別の会社には展開されないということがよくあります。
あくまでも、自分の会社が大事ということになってしまいがちです。
そして次のデメリットが、経理処理などの手続きの複雑化です。
元々は一つの会社だったわけで、社内での動きに過ぎなかったものが、会社が別になるので、取引が増えてしまうということがあります。
以前も子会社が増えるとメンドイという話をしたように、会社が増えるのは経理にとっては鬼門と言えます。
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もちろん、これは経理だけでなく、異動の際にも同じことが起きます。
社員は親会社のHDの籍で、子会社Aに出向して、5年後には別の子会社Bに出向となれば人事や総務などの事務手続きも増えます。
これが同じ会社なら、異動で単なる職場が変わるだけということです。
採用はどうなる?
新卒採用は2パターン考えられます。
一つは従来通り、親会社のHDが一括して採用して、配属の際にそれぞれの会社に渡すというパターン。
もう一つがそれぞれの子会社で採用を行うというパターンです。
こちらのそれぞれパターンだと、子会社によって明暗が別れてしまうでしょう。
つまり人気の業種であれば、応募人数が多く、そうでなければ応募が少ないということです。
さらに、それぞれの会社で採用をするなら、説明会や面接などの回数が増えることが予想され、先程のデメリット同様、手続きの増加が考えられます。
中途採用の場合なら、それぞれの会社ベースで行うのが自然でしょう。
中途で求められるのは、ポテンシャルではなく、明日からすぐに活躍出来るかです。
従って、それを見極めるのはそれぞれの会社ベースしかないでしょう。
新卒でホールディングスの会社を狙う場合は、その会社がどちらの採用パターンかを理解しておけば、企業分析なども効率的に行えるでしょう。
ちなみに、ホールディングスの会社の単体の決算は見ても意味がありません。
売上が無いわけではありませんが、参考にはならないので連結だけ見ましょう。
詳しくは下記の記事をどうぞ。
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まとめ
本日はホールディングスとはどんな会社かということを解説しました。
まとめると、
- HDとは子会社に営業を任せるスタイル
- 上場会社の約10%以上がホールディングス式
- メリットは意思決定や、専門性、ポスト
- デメリットは、会社が増えることで煩雑化、子会社同士の対立
- 新卒採用は、親会社が一括か、子会社がそれぞれ行うかのどちらか
ホールディングスが進んでいくのでしょうが、経理にとってはあまり嬉しくない流れと言えそうです。
そもそも会社を分割して、新しい会社を増やすってどうなんだろうとは思います。
メリットとデメリットを考えて、判断するのが経営なのでしょうが、勝手な想像では経理出身の社長ならホールディングス体制には移行しないのではと妄想します。
ファーストコールカンパニーシリーズ ホールディング経営はなぜ事業承継の最強メソッドなのか
ここまでお読みいただきありがとうございました。