前年対比や計画対比で、赤字と黒字だと比較しづらいよねという話です。
決算の数字というのは、比較しないとそれが良かったのか悪かったのかが判断できません。
売上10億、営業利益1億の当期の実績とただ言われても、前年や計画がどれくらいかによってそれが良かったか、そうでなかったかを判断します。
比較の方法は絶対値とパーセントがありますが、パーセントの場合、赤字になってしまうと比較がしにくくなってしまいます。
本日はそんな赤字の時の比較の話です。
結論:赤字の時は-(バー)にするのが楽
赤字だと面倒
そもそも赤字というのはマイナスなので、利益が出ていないということです。
赤字状態がずーっと続くのは、良くないことです。
もちろん、数字としてそうなってしまうのは仕方がないわけですが。
冒頭で記載したように、決算の数字は前年比や計画比で考えるのが一般的です。
絶対値やパーセントで比較することが多いですが、まずは例を踏まえて考えてみます。
例
当期実績:売上50億、営業利益10億
前期実績:売上45億、営業利益8億
当期計画:売上55億、営業利益12億
とするなら、前期比では売上は5億のプラス、営業利益なら2億のプラスです。
パーセントで考えると売上は11%の増で、利益は25%の増となります。
(単位:百万) | A)前年実績 | B)計画 | C)当期実績 | 前年比(C-A) | 計画比(C-B) | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
売上 | 4,500 | 5,500 | 5,000 | 500 | 11% | -500 | -9% |
営業利益 | 800 | 1,200 | 1,000 | 200 | 25% | -200 | -17% |
この例だと計画比ではマイナスということになります。
このように見ると、前年よりは売上・利益ともに伸びているが、計画ではもっと上を目指していたので、当期の実績は合格とは言えないと判断してもいいでしょう。
これが比較することの意味で、当期の売上50億、営業利益10億という数字だけでは、単純に判断することができないのです。(同業他社の規模感などから、感覚的になら判断は可能かもしれませんが)
これが赤字になってしまうと非常に面倒です。
例
当期実績:売上50億、営業利益-1億
前期実績:売上45億、営業利益8億
当期計画:売上55億、営業利益12億
これを普通に計算すると下記になります。
(単位:百万) | A)前年実績 | B)計画 | C)当期実績 | 前年比(C-A) | 計画比(C-B) | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
売上 | 4,500 | 5,500 | 5,000 | 500 | 11% | -500 | -9% |
営業利益 | 800 | 1,200 | -100 | -900 | -113% | -1,300 | -108% |
差額の数値は正しいですが、パーセント部分は誤りと言っていいでしょう。
前年比の%の部分は=c/a-1という式が入っています。
これだけ見ると絶対値では、計画比が前年比よりも大きい(1,300>900)ですが、%では逆の結果になっています。
要はマイナスとプラスを比較する時にパーセントで比較すると、実態を表していない可能性があるということです。
こういう時には、-(バー)として計算しないものとして表現するのが一般的です。
これは決算短信などの開示書類でも同様で、前期赤字で当期黒字になったら、前年比の%は-にしておくのです。
ただし会社によっては、上記の表のように計算したままというケースもあるかもしれません。
社内資料なら、どのように表記しても表記自体は自由です。
それが実態を表しているかどうかは、また別の話です。
実務的には、-を手打ちにしてしまうと、次回入力する際などに間違えてしまう可能性があるので、数式で-にしたほうがいいとは思います。
ちなみにマイナスからマイナス(前期-2億から当期-1億にアップ)という時も開示資料では-(バー)で表現されます。
これを知っておくと、開示資料ではこうだから、バーにしようという主張もできるのではないでしょうか。
儲かる会社をつくるには赤字決算にしなさい---会社にお金を残す32のコツ
ここまでお読みいただきありがとうございました。