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【監査】会計監査のサンプリングってどうやって選ばれるの?経理マンが解説【YouTube動画あり】

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【監査】会計監査のサンプリングってどうやって選ばれるの?経理マンが解説

会計監査で求められる資料って、どんな基準で選ばれてるという話です。

皆さん、こんな疑問を持ったことはないでしょうか。

会計士などの会計監査(J-SOX)で、請求書などの資料提出を求められたけど、どうやってこれが抽出されたのか?

今回は、この疑問を解消するための記事です。

これも経理マンになってないと、絶対知らなかったシリーズです。

どうやって選ばれるかを知っていれば、対策もすることが出来ます。

是非、最後までご覧下さい。

結論:サンプリングは重要なところだけ

なぜサンプリングをするのか?

まずは会計監査で、サンプリングをする理由から説明します。

サンプリングとは、サンプル(抽出)することです。

この考え方の基となるのは、多くの対象から選び出すということです。

なぜサンプリングをするのかの答えは、全部は見ることが不可能だからです。

 

上場会社は、監査法人(公認会計士の集団)と契約し、財務諸表という会社の成績が正しいらしいという監査意見を貰う必要があります。

ちなみに、監査意見を貰えなかったのがハイアス・アンド・カンパニーです。

www.finance-accounting-value.com

 

ここで正しいらしいというのがポイントとなります。

企業の財務諸表は、仕訳という取引の集合体です。

経理の方は、仕訳を大量に計上することになります。

会社の規模が大きいほど、仕訳の数が増えていくことになります。

年間で考えれば、100万件以上の仕訳が計上されることも上場会社ならあるでしょう。

 

監査の理想だけを言うなら、その全ての仕訳取引の妥当性(それが正しいか)を見たいです。

全て確認すれば、その財務諸表は正しいと断言出来るでしょう。

しかし件数が多すぎるため、経理・会計士ともにとんでもない負荷がかかり、それが不可能です。

だからこそ、ランダムでサンプリングして、その結果がOKなら全体としてもOKと考えるということです。

もちろん、監査の全てがサンプリングで完結するわけではないことに注意が必要です。

 

ランダムで調べることで、不正の発見にもつながることがあります。

例えば、経理の人が任意で取引を選んだりしたら、好き放題出来てしまうので、不適切でしょう。

ランダムであるからこそ、有効ではあるのですが、完全なランダムではないケースもあるというのがポイントです。

 

サンプリングで大事なポイント①母集団

サンプリングで必ずチェックされることが、母集団です。

母集団の中から、何らかのサンプルが選ばれることになります。

例えば、売上の伝票からサンプリングをするとしましょう。

売上の伝票が1,000件あって、その母集団から25件選ばれる(=サンプリング)というイメージです。

ここで重要なのが、その1,000件というのが売上を構成している全てなのかという視点です。

これが年間の売上だとして、確認したい年間の売上高合計と、その1,000件の売上が一致していなければ、母集団として不適切なのです。

売上から抽出しているので、考えられるのは2パターンです。

①売上合計と、母集団の1,000件の合計が一致している

これが望ましいパターンです。

こうならないと母集団として十分ではないため、サンプリングの意味もなくなってしまいます。

 

②売上合計よりも、母集団の1,000件の合計が少ない

これが注意すべきパターンです。

売上合計よりも、母集団が少ないということは、母集団に不足が生じています。

必ず、母集団の合計を確認し、母集団として適切かをチェックしましょう。

ただし、確認したい売上というのがポイントで、その点について次のパートで解説します。

 

サンプリングで大事なポイント②金額が大きいか(重要性があるか)

もう一つのサンプリングのポイントは、金額がそれなりに大きいかということです。

以前の動画でも紹介しましたが、重要性の原則というのものがあります。

重要性の原則とは、金額として大きくないものであれば、例外的に考えても良いというものです。

例えば、売上100億円の会社にとっての、1億円の売上とは売上の1%です。

一方、売上1兆円の会社にとっての、1億円は0.01%と意味が変わってくるということです。

会社にとっての重要性を考慮した上で、影響が大きそうものに焦点を当てた方が効率的かつ効果も高いということです。

 

サンプリングの作業においても、この金額的な重要性がポイントとなります。

例えば、極端に小さい売上をサンプリングしても、効果が微妙なのでは?ということです。

金額が大きい取引こそ、不正が合った際の影響度も大きいわけで、優先度が高いというわけです。

もちろん、不正が1件あたりは小さな金額でも、それを大量に作成するということもあり得るということには注意が必要です。

他にも、売掛金の残高確認(残確)をする際にも有効な考え方があります。

残確って何?という方はこちらをどうぞ

www.finance-accounting-value.com

 

残高確認をする際には、売掛金の残高の大きさというのも判断ポイントでしょう。

残高が1億円ある取引先と、100万円しかない取引先どちらを優先すべきかという話です。

そして、もう一つのポイントが売掛金の年齢です。

年齢とは、売上が計上されてからの過ぎた期間のことです。

これが長ければ長いほど、回収リスクがあると判断出来ます。

先程の例で、1億円残高はあるけど売上が計上されて間もないものと、1年前に売り上げてまだ回収出来ていない100万円、どちらを優先すべきかという話です。

 

このように、売上なり、売掛金の年齢なり、何らかの優先すべきものが明確にあるなら、これをベースにサンプリング対象の母集団を絞ることも可能ということです。

例えば、売上の伝票は1,000件で、その中から金額が1,000万円以上の伝票を集めてみると、200件まで母集団が減る可能性があります。

その200件からサンプリングすると、重要性の高いものを確認出来るということです。

 

例外

最後に例外として、全件確認するケースもあるということを紹介します。

全件確認するのは、全体の件数が少ないや重要性が高いなどが挙げられます。

例えば、私は商社の経理で働いていた時には、固定資産の計上というのは非常に少なかったです。

年間に10件前後だったので、これだったら全件確認も可能です。

また、会計監査では取締役会の議事録なども監査の対象です。

こういった書類は重要度が高いので、会計士は1件1件きちんと見て、疑問点があれば経理などに確認すべきなのです。

なるべくなら、最小の努力で最大の結果を出したいという気持ちはありますが、サンプリングの使い分けは必須ということです。

 

まとめ

本日は会計監査のサンプリングってどうやって選ばれるのかポイントを紹介しました。

まとめると、

  • そもそもなぜサンプリングをするか?→全件見るのは不可能
  • 監査法人のゴールは、正しいらしいという監査意見を出すこと
  • ランダムで抽出すれば、不正が見つかる可能性が上がる
  • 重要なのはサンプルの母集団の設定
  • そして金額が大きいものや、重要性が高いものが優先
  • 例外として、全てのサンプルをチェックすることもある

対策としては、金額が大きい取引であれば、監査法人から確認される可能性が高いので、最初から用意しておくということが挙げられます。

経理からすると、やっぱりこれが選ばれたか~なんてシーンが意外と多かったりします。

気になるところは、みんな同じなのかもしれません。

 

参考としてデロイトトーマツのサンプリングのページを添付します。

www2.deloitte.com

 


ベンチャー企業・中小企業のための 監査役・監査等委員の教科書

 

動画版です。

youtu.be

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。