意外と誤解しやすい、3つの会計監査におけるポイントを紹介します。
私は新卒で経理に配属になって、会計士の監査とだけ聞くと、少し怖いイメージもありました。
しかし、それは実態を何も知らなかったからこその思い込みでした。
経理にこれからなるという方にも、そして監査する側になるかもしれない方、そして営業の方も会計士の監査とは何かを知っておくと、ムダに恐れることがなくなります。
営業の方でも、業務や取引の内容の説明をしてもらうことがあるので、会計士の先生と接する機会がきっとあるはずです。
是非、最後まで見て、会計士と監査の関係をしっかりと理解しましょう。
結論:ポイントを3つ紹介、お互いの仕事をあっさり終わらせることを考える
勘違いしやすいポイント①会計士は怖くない
最初のポイントは、監査法人の公認会計士は怖くないです。
私も、例えば営業や事務をしている方に、会計士の先生に直接業務などを説明してもらうことが多かったです。
営業事務の方が会計士に説明するのを、横で私も一緒に聞いているイメージです。
自分も経理関係のことなら、大抵分かるのですが、例えば実際の売上計上を会計システムでどうやっているかまで細かくは理解していません。
そこで直接、営業事務の方などに会計士の先生に説明してもらうシーンが何度もありました。
そういうことを私が、営業や事務の方にお願いすると、よく言われたのが、「何か怖い、間違えたらどうしよう」です。
これは私も最初は思っていましたが、会計士の先生は実際に接してみると優しい方ばかりです。
高圧的な方なんていないと断言すら出来ます。
これが国税局の税務調査だと、まれに超高圧的な国税職員がいます。
監査法人の監査というのは、あくまでも会社側が選んだ監査法人です。
しかも、会社が少なくとも年間1,000万円以上という費用を払って、監査意見を出してもらうことになります。
監査意見って何という方は、こちらの記事で理解しましょう。
www.finance-accounting-value.com
つまり、あくまでもお金に基づく契約なので、クライアント(相手の会社の人)に不快に思ってもらっては不味いのです。
国税は強制力があるので、ある程度は好き放題出来るということです。(もちろん、昔と比べて国税職員もマイルドになってはいる)
ということで会計士の先生は優しいです。
わざわざ時間作ってもらってありがとうございますと、お礼を言ってくれる方が多いです。
あくまでも取引の実態をより理解しておきたいというだけなので、過度に恐れる必要はありません。
もしかすると、会社によってはこの資料は監査法人には渡すななんて資料もあるかもしれませんので、そういう会社は例外でしょう。
説明がもし間違っていても、わざとでなければ別に怒られることはありません。
ポイント②全ての資料が必須とは限らない
ポイントの2つ目は会計士から依頼される資料の、全てが必ず必要とは限らないです。
監査法人から資料の提出を依頼されることがありますが、これは優先度があり、無いものを必ず作らないといけないわけではありません。
私も、経理になって間もない頃は、全ての資料が必要だと勘違いしていました。
優先度がABCとあるイメージです。
A:必ず必要な資料、例えば売上計上の根拠となる請求書など
B:絶対ではないけど、出来れば欲しい資料、例えば減損の兆候のチェックリストなど
C:あったら嬉しいなという資料、例えば売上の取引先ごとの詳細な分析資料など
Aの資料はないということが基本ないという資料なので、これは絶対に必要という資料です。
例えば、財務諸表や仕訳を計上するための根拠資料は、あって当たり前です。
従ってこれは提出がマストです。
でもBやCの資料は、あるなら下さいというもので、ない場合は無理して作る必要はありません。
決算の時期などは特に大量の資料を依頼されるので、もしも優先度が明記されていない場合は、会計士に確認した方がスムーズに双方の仕事が進みます。
ポイント③てにをはにもこだわる
最後のポイントは、意外と細かいという話です。
経理の最終的なゴールは、監査法人に監査報告書を出してもらうことです。
その監査報告書は本決算の時は有価証券報告書(有報)で、四半期の時は、四半期報告書(四半報)に記載されます。
そして会社が作成した有報や四半報は、監査法人が正確に記載されているかチェックをすることになります。
このチェックが当たり前ですが、かなり細かいということです。
数字の部分というのは、正解があるので、根拠資料や財務諸表から◯✕が簡単に分かります。
以下がトヨタの例で、売上が~円になって、これは~%の減少と言った部分は誰が見ても正解が分かります。
問題となるのが、 それ以外の部分です。
これはあくまでも例です。
この文章の「てにをは」が、おかしいような気がしますと言われたりします。
こんな細かいところまで見ているんだぁというのが、私の一番の驚きでした。
逆に言えば、それだけしっかり見てくれるので、70~80%ぐらいの完成度で早めに仕上げて、会計士の先生にチェックしてもらうのが有効です。
それでも人がチェックしているからか、資料を公開した後で、誤字脱字があったりもするのが怖いところです。(数字が変わらないミスなら、修正しないこともあります)
考えてみれば、上場会社は約3,800社もあって、その数だけ有報などの資料があることになります。
そうなれば、もちろん表現も様々です。
有報や短信などの開示資料作成ツールには、他の上場会社がどのような表現をしているかをチェックする機能があるものもあります。
それを使えば、初めての記載でも、他社がこうやっているんだという一種の安心感が生まれます。
まとめ
本日は意外と勘違いしやすい、経理になるまで知らなかった会計士の監査対応のポイントを3つ紹介しました。
まとめると、
- ①会計士は怖くない→あくまでも契約に基づいているので、過度に恐れなくてOK、優しい人ばかり
- ②会計士から依頼される資料は全て提出しなければならないわけではない→優先度を確認して、優先度が高いものからさばくべし
- ③意外と数字以外の細かいところも見ている→チェックのプロに早目に投げれば、双方の仕事がスムーズに進む
ふと思ったどうでもいいことは、経理以外の方が会計士の先生と名刺交換しても、中々また会う機会が少ないよねと思っていました。
意外と知らなかったことではないかなと思います。
参考になれば幸いです。
公認会計士の「お仕事」と「正体」がよ~くわかる本 [第2版]
ここまでお読みいただきありがとうございました。