メーカーの経理から、商社の経理に転職した経理マンが考える、メーカーと商社の違いについての話です。
新卒で入った会社はメーカーでした。
そして経理に配属されて、メーカーの経理マンとして歩き出しました。
しんどくなって、辞めた後は、商社の経理マンになりました。
当然ながら、両者には違いがあったので、今回はそのことについて書いてみます。
記事の最後に動画もあります。
結論: 原価計算・研究開発・利益率・与信管理・外貨取引・社風などに違い
最初に断わっておくと、メーカー・商社ともに色々な機能を持っている会社がありますので、一概には言えません。
違い①原価計算と研究開発
一般的に、メーカーは工場でモノを作ります。
従って、メーカーの売上原価には工場で働く人の費用が含まれます。
それに対して商社は、メーカーなどからモノを仕入れて、それを他の会社に販売します。
まとめると、メーカーの売上原価には工場での原価などの様々な要素が含まれているのに対し、商社の売上原価には単なる仕入価格であると考えられます。
そしてメーカーは新製品などの開発のために、研究部門を持っている場合があります。
この研究に使う費用は、研究開発費と呼ばれます。
一方、一般的な商社には研究部門はないので、研究開発費も発生しない可能性が高いです。
経理マンの視点で言えば、財務諸表を作成するにあたり、比較的シンプルなのが商社と言えるかもしれません。
違い②利益率の意識
商社とメーカーでは、ビジネスモデルが違います。
商社は薄利多売のビジネスなので、利益率をより意識しています。
一般的に、営業利益率などはメーカーの方が商社より高いです。
利益率をより強く意識しているのは商社で、メーカーはモノ作りに焦点が当たっているという感じでしょうか。
違い③与信管理や外貨取引
これもビジネスモデルの差によるものですが、与信管理を商社はより重視しています。
仕入先→メーカー→商社→海外の会社
上記のような商流であれば、メーカーが商社から代金を回収するのは、それほど難しくないと思われますが、商社が海外の会社から回収するのは、回収リスクがあると言えます。
与信管理とは、この会社なら安心して販売ができるとか、この会社は危険だから前払いでというように、信用度に応じて取引条件を決めるということなどを言います。
また、商社が海外の会社にドル建てで販売するなら、為替リスクも発生します。
もちろん、メーカーが原材料などを海外から輸入するケースもあるでしょうし、その取引が外貨建てで行うなら為替リスクが存在します。
為替リスクの軽減のために、為替予約をすることもあり得ます。
違い④社風
社風については、会社によって大きく異なるので、参考程度に。
メーカーの人は保守的な人が多く、商社は流行や変化を好む人が多いように感じます。
個人的には、商社の方が堅苦しくもなく、自由に仕事ができる環境かなと思います。
いつかの炎上の記事でも書きましたが、メーカーの思考って時として頑固で時代にそぐわないのかなと思ってしまいます。
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もちろんメーカーというくくりだけでは、何ともいえないですが。
最後に
転職活動を始めた時に、エージェントの人に言われたのは、メーカー経理で色々関わっておられるので、その経験はプラスですということです。
結果的に、メーカー経理から商社経理に転職できたわけですが、逆だったら微妙だったかもしれません。
もちろん、同じ経理でも資金繰りや借入などがメインの財務部門であれば、話は変わってくるとは思います。
いづれにせよ、自らのキャリアは常に意識して、どのような人材になるのかという目標を持ち、行動することが大事なのかもしれません。
ここまでお読みいただきありがとうございました。