マコなり社長も紹介していた本が、今年No.1の面白さだったという話です。
本日は具体と抽象という何となく知っているけど、実際は意味を理解していないかもという本を紹介します。
マコなり社長も以前この本を紹介しており、読んでみたら大当たりでした。
今年読んだ本の中で、一番と言える良書でした。
マコなり社長の紹介した本をまとめたページはこちら。
www.finance-accounting-value.com
結論:2020年読んだ本の中で1位の、納得しかない本
「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問(PHPビジネス新書)
この本の筆者は細谷功(ほそや いさお)氏です。
この方は、ビジネスコンサルタントで東芝で技術者として勤務後、EYなどでコンサルティング経験を積む。
現在はNTTデータの子会社、株式会社クニエでコンサルタントとして勤務しているようです。
以下、本の独自要約です。
はじめに
「AIに使われる人」と「AIを活用する人」の違いは、抽象度の高いことに興味があるか否か→抽象を操る人がAIを活用する側の人
1章:なぜ具体と抽象が重要か
具体的なら分かりやすい反面、実は本当に大事なことを表現できないこともある
一度抽象の世界が見えてしまった人からは、具体の話は冗長でわかりにくい
「抽象病」とは、口だけでアクションがない=「具体化が不足」
「具体病」とは、具体的ではないと何もできないという思考停止の状態で、AIに置き換えられる
問題解決には下記の3パターン
- 具体→具体(表面的解決)
- 抽象→具体(机上の問題解決)
- 具体→抽象→具体(根本的問題解決)
「単に大量の事象を知っていること」の付加価値はAIにより、急速に下落
2章:具体と抽象とは何か
具体と抽象は相対的な概念
特殊の具体(オンリーワン)、一般の抽象(一般規則や事象間の共通点に着眼)
抽象化すればするほどシンプルになる
具体的にすればするほど、理解できる人の数は増えていく→具体派の人は抽象がわかりにくいから悪と考えがち
抽象化とはメタの上位視点を持つこと(全体を見る)
自由度が小さい具体と、自由度が大きい抽象
全て同等の具体、優先順位をつける抽象
3章:抽象化とは?
抽象化とは線引きすること→線引きすることにより賢くなる代わりに、固定することで争いも起きる
抽象化は都合の良いように切り取ること(横の世界の切り取りではなく、縦の世界の切り取りであることに注意)
切り取るということは特定の部分を重視し、それ以外を捨てること
見えない線をつなぐこと
具体の世界はどれでも感じられるが、抽象の世界は見える人にしか見えない
常識にとらわれている人は、具体レベルにとらわれているということ
抽象化とはWhyを問うこと
4章:具体化とは?
具体化とはHowを問うこと
数値と固有名詞にすること
例えと喩えの違い
例えは「Aである。例えばBである」とA→Bと具体化
喩えは「AをBに喩える」と抽象的共通点から具体化する(A→共通点→B)
5章:具体↔抽象ピラミッドで世界を眺める
問題発見(Why:抽象化)→問題定義→問題解決(How:具体化)
コミュニケーションギャップの原因
横:知識と経験の違い
- 見ている範囲の違い
- 見ている程度の違い
縦:具体と抽象の違い
- 抽象化のサンプルの違い
- 抽象化の取り出し方の違い
総論賛成各論反対のメカニズム
総論とは抽象であり、解釈の自由度が高く、各自が都合よく解釈
各論は具体であり、解釈の自由度が低く、現実に夢破れる状態
抽象度が上がると全て同じになり、具体論は全て異なる
自分のよく知らない地域は一般化してしまうのに、よく知っている地域は妙に細かく分けてしまう
原則的一般論の抽象派に対し、個別の例外で反論する具体派の構図はSNSでもよくある
抽象というのは切り捨てなので、抽象している側は例外があることを認めた上で切り捨てている
「他人には簡単にレッテルを貼るくせに、自分がそうされると不満に感じる」
他人のことはなるべく具体的で詳細な事情まで考慮するようにし、自分のことは特別視せず引いた目で一般化してみる
他人に対してあるべき論を振りかざしがちなのに、自分に対し矛先が向くと「自分のケースは特別だ」と主張する
「頼む」「頼まれる」のメカニズム
具体的な指示をすると、期待外れも期待以上もない
- 依頼する側の指示も具体的で、依頼される側も具体的な指示を期待している→面倒見の良い上司
- 依頼する側の指示は抽象的だが、依頼される側は具体的な指示を期待している→ギャップがある状態で、丸投げされたと感じる
- 依頼する側の指示も具体的だが、依頼される側は抽象的な指示を期待している→ギャップがある状態で、マイクロマネジメント(細かすぎ)と感じる
- 依頼する側の指示も抽象的で、依頼される側も抽象的な指示を期待している→任せるのが上手い上司
6章:言葉とアナロジーへの応用
状況に応じて切り取る属性を選んでいる
共通点を探すには、特殊性が高い方に着目する
折り曲げの法則:成功の反対は失敗ではない(実は両者は紙一重と考える)
レビューの星1つと星5つは似ている(感情を揺さぶられたから最低点や最高点をつける)
変化が激しい時代なら、完成度重視ではなく、スピード重視で何度も試行することが重要
質と量のトレードオフ
多くの人が関与すればするほど、量は増えるが、質は誰でもできるレベルに収束する
7章:具体と抽象の使用上の注意
問題は発見できた時点で、解決に近づいている
コミュニケーションは、言葉の定義を確認しないから、ギャップが生まれる
抽象の世界は見える人にしか見えない、一方具体の世界は誰にでも見える
「分かる人は聞いた瞬間に理解できるが、分からない人はいくら説明しても分からない」笑いや冗談と、具体と抽象は共通点がある
抽象レベルで考えている人は、他人の話が同じ話に聞こえてくる(共通点を見つけ、構造を見抜く能力があるから)
本が伝えたいメッセージ
- 学術的な理論中心の、抽象的なモデルや法則を伝えたいもの
- ビジネスのハウツー本など、の具体的なノウハウ
具体的なものはブログやYouTubeなどのメディアに置き換わる
抽象的なものは本でしか得ることが出来ない(今のところ)
おわりに
不毛な議論が多い
具体と抽象という縦の価値観が広がれば、このようなことは減る
自ら能動的に考える力で人生を切り開く際には、具体↔抽象という概念があれば良い
感想
非常に内容が面白く、一気に読み進めました。
SNSでの無意味な議論(そもそも議論とも呼べないレベル)についての説明には、本当に頷け、心から同意しました。
抽象化とは切り捨てることなので、具体的な例外も見た上で、切り捨てているという説明にしっくりきました。
それに対して、例外を持ち出して騒ぐのはおかしいというも納得でした。
当然ながら、抽象的な概念の説明には、具体的な例が用意してあり、理解の助けとなりました。
また説明の図も分かりやすく、概念がスムーズに理解できます。
抽象と具体はある種、当たり前の言葉です。
この当たり前をしっかりと言語化し、かつその利用の留意点も記載されており、非常に感動しました。
今年読んだ本の中で、一番の面白さでした。
また、常識ばかり重視するのも具体に取り憑かれているという趣旨も、なるほど!という例えでした。
自分で考えることも大事な要素で、タイトルは29問という形にはなっています。
しかし、あまり問題を解くというスタイルは感じませんでした。
練習問題をたくさんやりたいという方向けではないように感じました。
私はこれでいいと思っており、しっかりと具体と抽象について理解が進んだと思います。
レビューで言えば、星5つです!
本当にオススメの本で、社会人や大学生の方にもきっと参考になると断言できる良本です。
この本の内容は、実践しやすい領域と言えると思います。
例えば、YouTubeで面白いと思える動画の共通点を考えてみてもいいでしょう。
それは感動を誘うコンテンツなのか、共感を呼ぶのか、実体験の失敗が含まれているなど抽象化する切り口は様々でしょう。
具体という個別で考えずに、抽象化してみるターゲットは無限にあります。
SNSでの炎上も、抽象化することで見える景色が変わってくるのはと思います。
これを超える本に今年会えたら、この記事にリンクを追記します。
「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 (PHPビジネス新書)
ここまでお読みいただきありがとうございました。