米中の貿易戦争については、ほとんど知らなかったですが、学ぶのに良い本がありました。
去年の10月頃に買ったまま、読めていなかった本を読んだら、非常に面白かったので紹介します。
確か、どこかのブログで紹介されていたという記憶ですが、そのブログは失念してしましました。
ちなみに、トランプと習近平の対立については、何となくレベルでしか知りませんでした。
結論:米中貿易戦争の背景が学べて良い
ファーウェイと米中5G戦争
この本の著者は近藤大介氏です。
本を読めば分かりますが、中国側の視点で書かれており、アメリカが悪者というように読めます。
以下、本の要約と感想です。
本は7章から構成されており、今回は1章の部分を中心にまとめます。
1章:「ファーウェイ帝国」の全貌
2章:トランプ政権が仕掛けた対中ハイテク覇権戦争
3章:中国の「5G制覇」に怯えたアメリカ
4章:EUを巡る米中の攻防
5章:米中「経済ブロック」の行方
6章:米中の「最終決戦場」台湾
終章:ファーウェイと日本
ファーウェイの事業は4つ
- 通信事業者向けの通信基地局建設
- 一般企業向けの通信システムサービス
- 一般企業向けのスマフォやPCの販売
- クラウド事業
本社は、深センにあり、広大な土地に巨大なファーウェイ帝国がある。
面白いと思ったのは、高階層のビルにすると、エレベーターで移動時間が無駄なので、低階層で一つのフロアが広くなるように作っているという点。
社員食堂も豪華で、夜食も食べ放題というように、社員への還元が意識されている。
ただ、これはファーウェイに限らず中国のIT企業がそうらしいが、なんと定年が45歳。
工場では日々改善の取り組みが熱心に行われ、その理由としては改善に対してボーナスが支給されるから。
ファーウェイには2つのリスクを意識している。
ひとつが、ブラックスワンで、マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きいことで
もうひとつが灰色のサイ(グレー・リノ)で、こちらは大きな問題を起こすと思われているのに、軽視されてしまいがちなリスク。
ファーウェイと同じく語られるのがBATHである。(GAFAとの比較)
B:バイドゥ
A:アリババ
T:テンセント
H:ファーウェイ
社会を変えると言われている5Gだが、プライバシーもなくなるだろう。
AIと社会主義国家の親和性は高いので、中国で5Gが進むのは当然。
しかし、中国に限らず、プライバシーの概念がなくなるだろう。
アメリカが中国の指定5社として挙げたのが
- ファーウェイ
- ZTE(通信機器メーカー)
- ハイテラ(無線メーカー)
- ハイクビジョン(防犯カメラメーカー)
- ダーファ(こちらも防犯カメラメーカー)
後継者はどうなる?
ファーウェイのCEOは任正非氏で75歳であることから、後継者についても注目されている。
娘の孟晩舟氏はCFOを務めるが、後継者とは見られていない。
アメリカが、孟晩舟氏を逮捕する理由としては、
①マネーロンダリング
②アメリカの特許を盗んだ
③虚偽の証言
とされている。
EUや諸外国の対応
EUもアメリカをとるか、中国をとるかの選択を迫られている。
軍事はアメリカ、経済は中国という見方もある。
しかし、どちらを取ろうが、情報をアメリカに盗まれるか、中国に盗まれるかの違いに過ぎない。
台湾も米中にとって重要な拠点である。
台湾には、ホンハイやTSMCがあるからである。
ここから台湾を制する者が世界を制すと考えられている。
感想
中国寄りの意見ではありますが、非常に読みやすく面白い読み物でした。
国家というのは、再現性がないものの代表みたいな感じですが、これから米中がどうなって、日本にもどういう影響があるのかは興味深いです。
5Gによって、高速通信が可能になって、便利になっていく中で、日本の会社も変わっていくことでしょう。
ファーウェイの社員を大切にするという部分が、特に現代においては重要なのかなとも思いました。
CEOも贅沢をするタイプではなく、空港に迎えもいらないというのも、経営にとって大事な要素でしょう。
この本は積読していたのですが、本当に面白かったのでオススメします!
ここまでお読みいただきありがとうございました。